2024-10-04
代理母さんについて
代理母さんとは?
代理母さんは、自分の子供ではなく、遺伝的に異なる(他人の)子供を代理で産んでくれる女性です。 そのような出産は、代理出産や代理母出産と呼ばれています。代理出産とは生殖補助医療技術の一つで、代理母さんが自らの意思で妊娠に同意し、 遺伝的に自分と異なる子供を身ごもり出産するもので、出産後、その子供は遺伝上の両親に引き渡され、法律上の両親となります。
代理出産は、生殖器系に深刻な障害があったり、子宮がなかったり、出産や妊娠を妨げるその他の問題を抱えている不妊症の女性や不妊の夫婦が、遺伝的に関係のある自分の子供を持つことができる唯一の方法です。
代理母さんで代理出産を行うためには、人工授精が行われます。人工授精とは、不妊症の女性の卵子とパートナーの精子を結合させ、人工的な条件下で胚を作る複雑な医療行為です。この人工的に作られた胚を代理母さんの子宮腔に入れます。
代理母さんには多くの俗説もあり、例えば、代理母さんに子供を身ごもらせるためには、代理母さんは不妊症の女性の夫とセックスする必要がある、など信じている方もいます。が、これはもちろん嘘です。
繰り返しになりますが、代理母さんは、遺伝的に異質な子供を身ごもり、その形成(胎児の成長)と誕生を手助けする以外には、その子供とは何の関係も持ちません。また、不妊症に悩む女性の中には、何らかの理由で人工授精用の卵子を提供できない場合もあります。そのような場合には、ドナーの卵子が使われます。代理母さんが自分の卵子を使用することは、倫理的に問題があるだけでなく、違法行為でもあるため、もし代理母さん自身の卵子の使用を提案された場合は、どんな理由があっても同意してはなりません。
代理母になれる人
例えばウクライナの法律の場合、代理母になれるのは18歳以上35歳以下の女性で、すでに帝王切開をせずに自然分娩で出産した健康な子供が1人以上いて、結婚している場合は夫の同意が必要です。しかし、実際にはもう少し複雑で、まず遺伝的な両親(不妊の夫婦)は25歳以上の代理母さんに注目します。この年齢は、代理母が責任を持って義務を果たし、医師の勧告にも従うことをより期待するからです。
また、代理母は心身共に健康でなければなりません。これは、悪い習慣がなく、健康であることだけでなく、出産に影響する様々な要因がないことを意味します。代理出産の前に、代理母候補者は健康診断を受け、生殖機能だけでなく、一般的な健康チェックも行います。もちろん、代理母に慢性疾患や炎症性疾患、生殖器系の病気があってはなりません。そして、心理学者と精神科医との診察もあり、心理学者は代理母さんの気持ちの準備レベルを確認し、精神科医は代理母さんの神経系の状態を診断します。1年近くの間、代理母さんは自分の中にいる小さな命への責任を持たなければなりません。代理母候補者の検査の詳細は別項で詳しくご説明します。
代理母さんを利用できる人
代理母さんを利用できる人には法律による明確な規定があります。例えばウクライナの代理母出産の場合、生殖機能に問題があり、医学的な理由で出産が不可能な女性のみが代理母出産を利用することができます。即ち、単に子供を産みたくない、出産したくない女性は代理母さんを利用できません。
ちなみに、ウクライナの代理母出産は、子供の両親にとって大きなメリットがあります。ウクライナの法律では、代理母は子供と遺伝的に無関係であるため、子供を引き取る権利はありません。代理母が子供の引き渡しを拒否することは、ウクライナでは重大な犯罪に分類されます。
代理母になる準備
代理母さんが求められる背景
子供を妊娠できない夫婦や不妊症の問題はますます増えており、21世紀の問題となっています。その原因は必ずしも分かっていないケースもあります。先天性疾患、遺伝性疾患、心臓病、子宮のない女性など、深刻な健康問題があり、妊娠・出産が困難な場合、医師は代理母さん(代理出産)の存在を勧めることが増えています。代理母さんはそのような背景を知っておくべきです。
代理母の仕事とは?
代理出産では、不妊の夫婦から卵子と精子を採取し、シャーレの中で交配させ、わずかに成長した胚を代理母さんの子宮腔に入れます。代理母さんは遺伝的に異質な子供を身ごもり、実の両親に引き渡す役割を果たします。そのような代理母さんの存在は生殖医療にとって非常に重要であり、毎年何千組もの不妊カップルに遺伝的に関係のある子供を持つ機会を与えています。もし代理母という崇高な存在がなかったら、何千もの家族は不完全な人生を送っていたことでしょう。
代理母の報酬
代理出産は崇高な行為であると同時に、経済状況を大幅に改善する方法でもあります。様々な要因や国にもよりますが、代理母出産では20,000~50,000ドル(300~750万円)の報酬を受け取ることができます。
代理母になる条件
代理母は、他人の子供を身ごもる前に、膨大な数の条件を満たし、真剣な訓練を受けなければなりません。最も重要な条件のひとつは、18歳以上35歳以下の女性であること、健康な子供が一人以上いること、心身ともに健康であること、結婚している場合には夫が代理母出産に同意する書面を提出し、妻が代理母出産に踏み切ることを理解していることが挙げられます。
代理母の健康は、生殖に関する健康だけでなく、慢性疾患や妊娠・出産の禁忌がないことも必要です。代理母になる前に、多くの検査を受けなければなりません。一般的な検査から、隠れた病気や慢性疾患の発見、遺伝性疾患の発見など、様々な検査を受けることになります。
ちなみにウクライナの場合、18~35歳の女性が代理母プログラムに参加できますが、不妊症の夫婦(依頼主)や医療機関は、25歳から30歳の代理母さんを優先する傾向があります。
代理母の検査
代理母は、完全に健康であることを確認(証明)するために、一連の検査を受けます。これらの検査にかかる費用は代理母は負担しません。代理母は検査時にパスポート、身分証明書、結婚証明書、子供の出生証明書を持参する必要があります。具体的な検査例としては、
- ・血液型とRhの判定
- ・臨床血液検査
- ・凝固検査(血液凝固と将来の代理母の血栓症傾向の指標)
- ・RW、HIV、HCV、HBVウイルス検査
- ・TORCH感染の検査。T.O.R.C.H.は胎児にとって最も危険な感染症の頭文字で、トキソプラズマ症(Toxoplasmosis)、他の感染症(Other infections)、風疹(Rubella)、サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus)、単純性ヘルペス(Herpes simplex virus)
- ・血液生化学検査。AlAT、ACAT、ビリルビン、グルコース、尿素値
- ・一般的な尿検査
- ・PCR法(ポリメラーゼ連鎖反応-新しい画期的な診断法)によるクラミジア、ウレアプラズマ症、マイコプラズマ症、性器ヘルペス、サイトメガロウイルス感染の検査
- ・微生物叢の塗抹検査(子宮頸管と尿道から採取)。微生物叢の性質に加え、膣の清潔度の判定
- ・細胞診検査(子宮頸部からの掻き取り)
- ・透視検査
などが挙げられます。また、セラピスト、精神科医による心の検査も行います。精神科医は代理出産のあらゆる困難に対する代理母さんの準備態勢を評価します。
代理母が検査に合格した後
代理母がすべての検査に合格した後、最も適切な時期に、胚を代理母の子宮腔に入れる準備を始めます。この過程で、代理母の体も妊娠の準備をします。この目的のために、エストロゲンやプロゲステロンなどのホルモン剤が使われます。その後、通常の妊娠経過観察が行われ、必要であれば代理母の妊娠をサポートするホルモン剤が処方されます。
代理母出産プログラムの流れ
代理母さんにとっての流れ
すべての検査が終了し合格すると、代理母さんは代理出産プログラムに参加する権利を得ます(有効期間あり)。この期間中に、私達BFYエージェントのマネージャーは、幸せの順番待ちをしているご夫婦に案内をします。
法的な詳細がすべて整ったら、胚移植の準備が始まります。代理母は子宮内膜に栄養を与え、着床に理想的な状態にする薬を処方されます。ホルモンの分泌も促進されます。詳細についてご興味のある方は、BFYウェブサイトからお問い合わせください。代理母さんにとって、代理出産プログラムの大まかな流れは以下の通りです。
代理母の精密検査実親との契約締結代理母への初期費用の支払い胚移植のための代理母の体の準備胚の子宮腔への直接移植妊娠と胎児の成長子供の誕生必要な書類への署名を伴う実親への子供の引き渡し代理母への報酬(残金)の支払い1ヶ月後、出産回復確認の婦人科検診
代理母と実の両親(依頼主)との双方が各段階で契約内容を遵守しているかどうかは、私達BFYエージェントが代理出産に詳しい弁護士の助けを借りてサポートします。また、代理母の妊娠中の衣食住に掛かる費用などについては、別途協議されます。
もう少し具体的な流れ
代理母さんのすべての検査が終了、合格し、両親との契約を済ませると、代理懐胎と胚移植の準備が始まり、子宮内膜に栄養を与え、着床に理想的な状態にする薬を処方され、ホルモンの分泌も促進されます。
その後約1ヶ月の準備期間を経て、卵子は父親の精子と受精し、受精卵は実験室で3~5日間成長します。そして5日目に、代理母の子宮内膜の栄養培地に移植する準備が整います。
人工授精は自然受精に似ており、ただ、男性の性器の代わりに、胚を膣に挿入する細い器具を使用します。そのため、処置に痛みはなく、麻酔なしで行われます。処置後、数時間横になり、本を読んだり、テレビを見たりする必要があります。その後、帰宅し、14日後に最初の妊娠検査を行います。
妊娠すると最初の超音波検査は生殖医療クリニックで行われます。これは厳粛な瞬間です。代理母さんも実の両親も将来の赤ちゃんを見るからです。
お腹が目立ってきたら、自宅で過ごすこともできますし、私達BFYが用意する宿泊施設に泊まることもできます。その宿泊施設の別のお部屋には、他の代理母さんも宿泊しているケースがありますし、病院も隣接しているので安心です。
分娩と退院は通常と同じですが、代理母さんはクリニックの専門家らによってモニターされます。退院後、代理母は公正証書を作成し、その後、契約金の残金を受け取ります。1ヶ月後、出産から回復したことを確認するため、婦人科検診を受けることになります。
妊娠中の代理母について
一般的な妊婦さんと同様に、代理母さんも妊娠中の外見は大きく変化します。ホルモンの変動、全身の疲労、むくみなど、すべてが影響します。ただし、妊娠中でも見た目の美しさ、身だしなみには気を使うべきで、代理母も例外ではありません。妊娠中のケアをしっかりすることで、プログラム終了後、より早く元の生活に戻ることができます。
体重の増加
妊娠すると体重の増加は避けられませんし、それは赤ちゃんがきちんと成長している証でもあります。ほとんどの場合、女性はお尻と腹部に体重が増えます。妊娠中の体は、女性が妊娠を最後まで続けられるように、そして飢餓状態になっても子供を出産できるように、できるだけ脂肪量を増やそうとします。この余分な体重は、出産後にホルモンバランスが整えば、自然に減っていきます。もちろん、一般的な運動、体操、妊娠中の頻繁な散歩、妊娠後期の特別な包帯の使用は、代理母が出産後に美しい体型をより早く取り戻すのに役立ちます。
髪の毛や肌
ホルモンのレベルが常に変化しているため、代理母さんの髪の毛は妊娠中とてもきれいになります。しかし、これは一時的なもので、出産後には消えてしまいます。出産後、代理母さんは髪が抜け始めたと感じるかもしれませんが、実際はそうではなく、髪の毛が元の状態に戻っているだけです。同じことが肌にも言えます。肌は劇的に改善され、妊娠中ずっと代理母を楽しませてくれます。が、これは女性の外見に良い影響を与えるエストロゲンの分泌によるものです。
色素斑
妊娠のデメリットのひとつとして、以前はシミがなかったにもかかわらず、シミができてしまう代理母さんもいます。残念な気持ちにはなりますが、危険ではないですし、シミを消すのはそれほど難しいことでもありません。シミの出現は、ホルモンレベルや皮膚の変化とも関連しています。通常、出産後にシミは消えますが、もし代理母さんにとって深刻な悩みだとしたら、皮膚科医に相談し、適切な美白化粧品やディープリサーフェシングをアドバイスしてもらい、シミを消すことができます。すでにシミがある場合は、日焼け対策に気を配り、SPF値の高い日焼け止めを使用したり、新たなシミの出現を防ぐと良いでしょう。
爪と歯
代理母の体内で胎児が育っている間、胎児が適切に成長・発育できるように、体内から多くの栄養素が放出されます。例えば赤ちゃんが骨や健康な歯を形成するためには、大量のカルシウムが必要になります。代理母がカルシウムを豊富に摂取しないと、赤ちゃんの爪や歯の発育に悪影響を及ぼす可能性があります。代理母さんの爪がもろくなってきたり、歯の質が著しく悪くなってきたと感じ始めたら、医師に相談しなければなりません。健康への深刻な影響を避けるために、どのカルシウム含有薬を服用すればよいか、医師がアドバイスしてくれます。
妊娠1か月~2か月
代理出産では、最初の2ヶ月(妊娠初期)が最も重要です。この短い期間に、子供の活発な形成が始まり、代理母さんは新しい役割に慣れていきます。へその緒と胎盤が形成され、赤ちゃんに栄養、暖かさ、安心安全を提供します。妊娠4週目には、赤ちゃんの背骨や内臓が発達し、小さな心臓が動き始めます。
6週目には、赤ちゃんの外見が形成され、鼻の形や目の形などがはっきりしてきます。そのため、胎児にとって、身体形成の最初の2ヶ月間が穏やかで安全であることが非常に重要なのです。
この時期は、代理母さん自身にとっても大変な時期です。女性の体が新しい目的のために再構築されるため、ホルモンバランスが崩れ、感情が不安定になり、軽いうつ状態になることもあります。代理母さんのこのような変化に備え、精神状態によっては専門の心理カウンセラーを受診させる必要が生じます。
また、代理母は、妊娠中の健康と安定した精神状態を維持するために、以下のルールを守る必要があります。
夜の時間は、休息や好きなことに充てる
十分な睡眠をとる
食生活をしっかりと管理する(医師の勧めにより、ビタミン剤や栄養補助食品の摂取も行う)
体を動かす(のんびり散歩したり、ヨガをしたり、新鮮な空気を吸ったりする)
緊急ドクターコール
代理母の健康に重大な変化があれば、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。特に最初の数ヶ月は、代理母の妊娠は非常にもろく、流産や取り返しのつかない健康への脅威が起こるかもしれません。健康上の問題が深刻でない場合でも、クリニックの医師や妊娠を管理している婦人科医に相談をします。
妊娠3か月~4か月
妊娠3~4ヶ月の間、赤ちゃんの体はすでに形成され、成長と発達を続けます。妊娠4ヶ月の初めには、赤ちゃんの脳、消化器官、目はすでに発達しています。赤ちゃんが活発に動き始めるのもこの時期で、腹部に最初の動きを感じることができます。臨月になると、赤ちゃんの動きは多少乱雑になります。その後、脳の形成が完了すると動きが滑らかになり、代理母の行動や外部の出来事に反応するようになります。
代理母さんが妊娠初期の2ヶ月で中毒症にかかったとしても、およそ3ヶ月目には治まります。そのため、妊娠3~4ヶ月は好きなことをするのに最適な時期です。できるだけ歩いたり、リラックスしたり、音楽を聴いたり、映画を見たりすると良いです。
妊娠3~4カ月は気分の落ち込みがまだありますが、すぐに治まります。平均して、3カ月目の終わりには、女性ホルモンは正常に戻り、疲労や絶え間ない気分の落ち込みはなくなります。また、妊娠4カ月目以降に理由もなく不機嫌な気分に悩まされたとしてもそんなに心配する必要はありません。
この時期、赤ちゃんは最も活発に動き始め、目に見えるキックを感じることができます。しかし、キックが鋭くなりすぎたら、赤ちゃんが酸素不足に陥っている証拠です。この場合は、新鮮な空気の中を散歩したり、肉体労働をやめたりする必要があります。
また、代理母の体に十分なビタミンとミネラルを摂取させることも非常に重要です。赤ちゃんが正常に成長し、発育するために、どのようなビタミンのサプリメントを摂取すべきか、医師に相談します。
妊娠5か月~6か月
この時期、子供の骨格は活発に形成され始めます。そのため、代理母は体内のカルシウム量に特に注意を払う必要があります。代理母さん自身がカルシウム不足に気づくこともあります。例えば、歯の状態が悪化した場合には、婦人科医のアドバイスのもと、子供が正常に発育し、骨系が形成されるように、安全な量と質のカルシウム摂取を行います。
代理母の脈が速くなるのは、体内に新しい血液循環の輪ができた結果です。また、5ヶ月目や6ヶ月目には、軽い陣痛のような感覚を覚える人もいます。子宮が赤ちゃんの動きに反応しているのです。
妊娠中の代理母のためのヒント
・ヒールの高い靴は避ける・妊婦に多い静脈瘤を避けるために、横向きで休む・食事に気をつけ、できるだけ新鮮な果物や野菜、ゆでた肉、魚、カッテージチーズなどを食べるようにする・少なくとも1日8時間は睡眠をとる・新鮮な空気の中を散歩したり、体操をしたりする
妊娠後期の代理母のためのヒント
代理母さんが妊娠後期にクラシック音楽を聴くと、赤ちゃんは喜ぶでしょう。科学者たちは、これが脳の発達を助け、赤ちゃんの性格を形成すると信じています。妊娠後期には、妊婦用の特別な包帯を使用することも可能です。これは、赤ちゃんの安定した姿勢を維持するのに役立ち、また、代理母が出産後に早く体型を戻すのにも役立ちます。
妊娠後期になると、胸焼けに悩まされることがあります。これを避けるために、食事はこまめに、しかし少量にしましょう。食後すぐに少し歩くか、楽な姿勢で座ってください。食後すぐに横になるのは、新たな胸やけ発作を誘発するので避けるべきです。また、胸焼けを避けるために、急に体を曲げないようにしましょう。むくみを避けるには、水分の量をコントロールする必要があります。婦人科医がこのコントロールの手助けをしてくれます。
代理妊娠を秘密にする方法
代理母さんに関する情報は法律で守られているほど重要なものです。例えばウクライナの場合、代理出産プログラム参加者の安心と医療上の秘密は、ウクライナの医療法制の基礎の3つの条文によって保護されています。ウクライナ民法は、健康状態に関する秘密保持の権利を明記しています(第286条)。さらに、ウクライナ憲法と多くの国際文書が、医療倫理、人間の名誉の尊重、プライバシーの権利の問題を規定しています。
そして、すべてのプログラム参加者は、完全な守秘義務を負います。国際医療倫理綱領(1949年)によると、医師は患者に関するすべての情報を守秘しなければなりません。また、1994年の「ヨーロッパにおける患者の権利に関する宣言」にも同様の記述があります。患者の書面による同意がある場合のみ、その患者に関するデータを開示することができます。
医療上の守秘義務は、医師だけでなく、すべての診療所スタッフ、法律家、私達のような代理出産エージェントにも適用されます。代理母さんの健康状態、診断結果、医療機関を受診した事実に関するいかなる情報の流布も禁止されており、破った場合には行政処分の対象となります。守秘義務のある情報は、医療情報(代理母さんの健康状態に関する情報)と非医療情報(代理母さんの暮らしや家庭に関する情報)の2種類に分けられます。
代理母と栄養
代理母さんの適切な栄養について
お腹の中で赤ちゃんが正常に成長するためには、代理母さんは食事に細心の注意を払う必要があります。食事と栄養の献立を工夫することで、元気で正常な赤ちゃんを育てるだけでなく、代理母さん自身の健康維持にも役立ちます。毒物中毒を最小限にし、妊婦の便秘のような不快な問題を避け、消化の良い食事や栄養の取り方を心がけなければなりません。
赤ちゃんの正常な発育のためには、代理母さんの体が発育に必要なビタミンやミネラルを十分に摂取することがとても重要です。例えば、カルシウムのような物質が赤ちゃんに十分供給されないと、身体は自分自身の資源を使い果たし、爪や髪、歯がボロボロに劣化してしまうからです。
妊婦は2人分食べるべきだという言葉は、ある種の俗説です。普段の食事量で妊婦にとっても赤ちゃんの発育にとっても十分です。食生活で変えるべきは、食事の回数です。規則正しく1日3回の食事に慣れていたとしても、妊娠中はこの体制をやめて、頻繁に少量の食事をとるようにするほうがベストです。その方が健康的で、中毒症や妊婦によくあるその他のトラブルを避けるのにも役立ちます。
また、過度の栄養摂取は代理母さん自身の体重を増加させ、出産時に問題を引き起こす可能性があること忘れてはなりません。栄養の偏りや過剰な栄養摂取によって、妊娠や出産を複雑にするだけでなく、将来の健康にも悪影響を及ぼします。
妊娠中は、妊婦の栄養、適度な運動、身体発育のバランスを保つことがとても大切です。もちろん、胎児が健康に育つように、代理母さんの体には少し多めのビタミンとミネラルが必要です。しかし、だからといって果物ばかりを食べたり、食事の量をすぐに2倍に増やしたりしてはいけません。また、妊娠初期の3カ月間は、ジャンクフード以外で、食べ慣れたものを食べるのがベストです。生まれてくる赤ちゃんのためにも、妊娠期間中はファーストフードや加工食品、工業規模で加工された食品を断つ必要があります。
もちろん、体重を減らすことを目的としたダイエットは、代理母さんには禁忌です。妊娠中は赤ちゃんの健康が一番大切で、体型は出産後に気をつければいいのです。一方、カロリーを十分に摂ることは大切ですが、摂りすぎも禁物です。心身の活動量に応じて食事内容を変え、摂取カロリーをオーバーしないことが大切です。
代理母さんの妊娠後期
代理出産の妊娠後期は、通常より少し高めのカロリー摂取が正当化される時期となります。胎児が活発に成長し、体重が増え始めるのが妊娠後期であり、そのために代理母さんは平均20%増のカロリーが必要となります。しかし、代理母さんが肥満傾向であったり、食事管理が十分でない場合は、食事内容を変更する前に医師に相談する必要があります。妊娠後期にジャンクフードが増えてしまうと、赤ちゃんや代理母さん自身の体調に悪い影響を与え、出産を複雑にすることもあります。
代理母の食事に含まれるべきもの
まず、動物性タンパク質が必要です。これは食事において非常に重要な要素であり、もし代理母さんがベジタリアンであれば、別の代理母さんを探す理由になり得ます。適切な栄養についての見解がどうであれ、胎児は全てのシステムの正常な発達、成長と組織の発達のために動物性タンパク質を必要とします。
動物性タンパク質を植物性タンパク質に置き換えようとすると、胎児の発育が悪くなったり、筋肉が不足して痛がったり、身体が弱くなったりする可能性があります。さらに、動物性食品にはカルシウムが含まれており、これは骨系の形成に不可欠です。カルシウムが不足すると、赤ちゃんだけでなく代理母さんも苦しむことになります。カルシウムを赤ちゃんに与えるために、代理母さんの体(骨や歯)からカルシウムを流し始めるからです。
代理母さんに必要な動植物脂肪
赤ちゃんが適切に成長するためには、代理母さんの食事に植物性脂肪と動物性脂肪を適切に組み合わせることが必要です。植物性油脂と動物性油脂のどちらか一方だけを摂り過ぎないことが非常に重要です。オリーブオイルや亜麻仁油などの植物性油脂は、サラダや惣菜のドレッシングに最適です。動物性脂肪については、週に一度は脂身の多い肉を優先し、乳製品や発酵乳製品も避けてはなりません。
代理母さんに必要な炭水化物
炭水化物は私たちの生命活動のエネルギー源ですが、過剰摂取は代謝異常や体重増加を招きます。避けるべき炭水化物は砂糖やパン類で、パスタなどの小麦粉製品も食べ過ぎないようにしなければなりません。健康的な炭水化物を多く含む果物や野菜を優先すべきです。全粒粉から作られたものを選ぶことも大切です。
代理母の栄養管理に役立つヒント
栄養士は、代理母さんに1日5~6食食べるよう強く勧めています。胎児が成長するにつれて他の臓器に負担がかかり、消化器系全般、特に腸の機能が低下するからです。第一に、炭水化物は腸の働きに悪影響を及ぼし、第二に、妊娠後期の妊婦の場合、血糖値の深刻な上昇を引き起こす可能性もあります。 代理母さんの食事は、アルコールだけでなく、コーヒーや濃い紅茶も避けるべきです。妊娠初期には、カフェイン、市販のジュース、炭酸飲料などは控え、緑茶やミネラルウォーター、ナチュラルジュースを優先すべきです。
代理母の産後回復
代理母の産後回復どうあるべきか?
代理出産する代理母さんには共通の悩みがあります。出産するまでは他人(世間)から注目されますが、出産後は新生児に関心が移り、その女性には関心が向かなくなる傾向があります。出産後は何かをする気力も意欲もなく過ごすケースも少なくありません。これは根本的に間違った(良くない)現象ですが現実に起きていることでもあります。出産後も、代理母さんの人生は妊娠前と同じように進むべきであることを忘れてはなりません。
多くの場合、代理母さんの産後回復に関しては、生理的なデータを正常に戻すことが中心で、心理学(精神的な面)にはほとんど注意が払われていません。産後の心身の回復に最も重要な役割を果たすのは、出産後の数ヶ月であることを忘れないでください。
代理母さん特有の産後回復
代理母さんは、赤ちゃんが生まれたら実の(遺伝的な)両親に引き渡し、新生児の世話をする必要がありません。つまり、代理母さんは自分の健康と幸福のために最大限の時間を割くことができます。だからといって、出産後すぐに仕事や重労働の家事に戻るべきではありません。出産後の回復には少なくとも3カ月がかかります。特に産後数週間はベッドで安静にしているのが理想的です。1年近く、代理母さんの身体は赤ちゃんに全力を尽くし、出産時には深刻なストレスを経験しています。心身ともに十分な休息が必要です。
代理母は出産後に何を変えるべきか?
代理母さんにとって、出産後に必要な変化は栄養の取り方です。もちろん、妊娠中も代理母さんは適切で健康的な栄養摂取を心がけていましたが、産後も同じように栄養管理に気を配ることが大切です。まず、出産後の身体には、温かい飲み物が必要です。お茶、ハーブティー、お湯などでも構いません。また、食事にスープや穀類を取り入れましょう。温かい飲み物と一緒に摂ることで、代謝を促進し、胃腸の働きを活発にします。
たとえ新鮮な野菜であっても、冷えた食べ物や乾燥した食べ物は避けましょう。出産後は、消化器官を含め、全身に深刻なストレスがかかった状態です。乾燥した食べ物を食べると、胃痙攣を引き起こす可能性もあります。野菜は加熱処理することで、胃が対応しやすくなります。消化の良いものを食べるように心がけましょう。
代理母さんの心理的回復
代理母さんは、出産後、子供を両親に引き渡した後も、精神的な回復に十分な時間を割くべきです。どんな女性(代理母さん)でも、自分が身ごもった赤ちゃんにこの上ない愛着を抱くようになります。これは、胎児を大切に思うからこその正常で自然な現象です。しかし、代理母さんは、出産後に赤ちゃんとの別れを体験します。そのため、私達BFYは、妊娠期間中だけでなく、プログラム終了後も代理母さんのケア、サポートに注力しています。両親から届いた感謝のメッセージ、写真などを代理母さんに届けるケースもあります。が、遺伝的な両親と代理母さんとが友好的な関係を維持することは、代理母さんにとっても、子供にとっても、将来的に良くない影響を与える可能性があります。したがって、出産後は、ドライに、距離を置いてもらうようにするケースのほうが一般的と言えるでしょう。
代理母さん自身のための時間をとる
出産後の代理母さんには、自分自身の回復のためにできるだけ多くの時間を割くようにしてもらっています。不妊でつらい思いをしてきたご夫婦が心待ちにしていた『家族』を得れたのは代理母さんのおかげです。誰にでもできることではない、とても尊い行いです。
代理母さん産後の体重減少
出産後、できるだけ早く体型を戻したいと思い、退院するとすぐにジムに通ったり、厳しいダイエットをしたりする代理母さんがいますが、そのようなことはしないように促しています。激しい運動も、厳しい食事制限も、体にとっては深刻なストレスです。妊娠・出産という大変な時期を過ごした身体には、回復と療養が必要です。体が自然に元に戻るのを待ち、少なくとも産後3カ月までは激しい運動は控えるようにお願いしています。
代理母に関するFAQ
日本人の代理母はいますか?
日本では、代理出産に関する法律が整備されておらず、違法ではありませんが、商業的な代理出産は事実上認められていません。日本産科婦人科学会は、代理出産に反対する立場を取っています。その主な理由は以下の通りです。
親子関係の複雑化や、子供の福祉への懸念
代理母の身体的・精神的リスク
金銭のやり取りによる、代理母の搾取の可能性
倫理的・社会的な問題
日本人が代理母を利用する場合は、海外で代理出産を行い、日本に帰国します。商業的な代理出産が合法な国は僅かしかなく、ウクライナ、ジョージア、カザフスタン、アルメニア、アメリカの一部の州などです。
日本国内では、不妊治療や養子縁組などの代替手段が一般的で、近年は、不妊治療への保険適用が拡大されるなど、支援策も充実してきました。しかし、遺伝的な繋がりを重視した代理出産を望む声も一定数存在し、年々増えているのが実情です。法整備の必要性を訴える意見もあり、倫理的・社会的な合意形成が求められています。
代理母が赤ちゃんと遺伝的な繋がりを持つことはありますか?
はい、代理母が赤ちゃんと遺伝的な繋がりを持つケースがあります。これは「伝統的代理出産(サロゲートマザー)」と呼ばれ、以下のような特徴があります。 代理母自身の卵子を使用:伝統的代理出産では、代理母自身の卵子が使われるため、代理母は赤ちゃんの遺伝的な母親となります。
人工授精で妊娠:代理母は依頼者の男性(または提供者)の精子で人工授精を行い、妊娠・出産します。
法的・倫理的な複雑性:代理母が遺伝的に赤ちゃんとつながることで、親子関係の法的・倫理的な問題がより複雑になる可能性があります。
一方、「妊娠代理出産(ホストマザー)」と呼ばれる方法では、以下のような特徴があります。
依頼者(または提供者)の卵子と精子を使用:妊娠代理では、依頼者(または提供者)の受精卵を代理母の子宮に移植するため、代理母と赤ちゃんの間に遺伝的な繋がりはありません。
体外受精で作成された受精卵を移植:体外受精で作成された受精卵を代理母の子宮に移植することで、代理母は妊娠・出産します。
法的・倫理的な複雑性は相対的に低い:代理母が遺伝的に赤ちゃんとつながらないため、親子関係の法的・倫理的な問題は伝統的代理出産と比べて単純化される傾向にあります。
現在は、妊娠代理出産が主流となっています。例えば、ウクライナの現行法では、代理母が赤ちゃんと遺伝的な繋がりを持つことは違法です。したがって、私達BFYが提供している代理出産サービスにおいては、代理母さんは赤ちゃんと遺伝的な繋がりを持たないケース(妊娠代理出産、ホストマザー)に限っています。
代理母は独身である必要がありますか?
国によって法律が異なりますが、例えばウクライナ、ジョージア、カザフスタンは、商業的代理出産を合法化している数少ない国の一つであり、外国人夫婦を含む多くの依頼者を受け入れています。そのような国における代理母の主な条件は以下の通りです。
年齢:代理母は、18歳から35歳までの女性が望ましい
健康状態:代理母は、身体的・精神的に健康である
出産経験:代理母は、少なくとも一回の出産経験がある
婚姻関係:日本人夫婦が利用する場合では、その代理母は独身であること(他の国では異なる)
一般的には、代理母は赤ちゃんの遺伝的な母親になることはできません。つまり、妊娠代理(ホストマザー)のみが認められています。また、依頼者(両親)の少なくとも一方が赤ちゃんと遺伝的につながっていることが条件とされています。
代理母の需要はどのくらいありますか?
代理出産の需要は、晩婚化や不妊治療の需要増加に伴い、今後も増加すると予測されています。しかし、多くの国では統計を公表しておらず、正確な数値を把握することは困難です。例えばウクライナの場合、法務省の発表によると、2015年から2020年4月までにウクライナで生まれた代理出産による赤ちゃんは6,599人で、そのうち外国人の両親を持つ赤ちゃんは6,126人です。例えばジョージアの場合、2022年までの5年間で代理出産で生まれた赤ちゃんは倍増し2000人に達したと発表されています。
代理母についてもっと知りたい方へ
本記事では、代理母さんについてできる限り詳しくお伝えしてきましたが、いかがだったでしょうか。代理母出産は多くの医師、病院、法律家、行政が関与し、受精は人工的な条件下で行われ、複雑な書類(手続き)が続きます。また、外国人との外国語でのやり取りですから、繊細でミスのない管理が必要になります。ウクライナ、カザフスタン、ジョージア、アルメニアの代理母さんについてもっと詳しく知りたい方は、私達BFYのサイトからお問い合わせください。Facebookでも日々の活動の様子をご覧いただけます。
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