2025-02-20
同性婚のカップルが子供を持つことは可能?養子・代理出産などの方法を紹介

日本では同性婚が法的に認められていないため、同性カップルが子供を授かるにはさまざまな課題があります。しかし、養子縁組や里親制度、生殖医療を活用することで、子供を迎え入れることは可能です。
精子提供や代理出産を利用すれば、遺伝的につながりのある子供を持つこともできます。本記事では、同性カップルが子供を持つ方法や、代理出産・精子提供の手続き、法律の違い、実際の事例について詳しく解説します。
日本国内で同性カップルが子供を育てることはできる?
日本では現在、同性婚は法的に認められていません。しかし、同性カップルが子供を育てること自体は可能です。実際に、同性パートナーの子供を共同で育てるケースや、片方の親が実子を持ち、もう一方のパートナーと共に子育てを行う家庭も増えています。ただし、法律上、片方の親のみが親権を持ち、もう一方のパートナーは法的な親として認められないという課題があります。
また、一部の自治体では同性カップルを支援する「パートナーシップ制度」を導入しており、子供を含めた家庭生活に一定の社会的保障を与える取り組みも進められています。
しかし、養子縁組や代理出産などの方法で子供を迎え入れることには法的な制約があり、同性カップルが法的に親になることは決して容易ではありません。今後の法改正や社会の変化によって、同性カップルの家族形成の選択肢が広がる可能性もあります。
同性婚のカップルが子供を持つ方法
同性婚のカップルが子供を持つ方法として、養子縁組・里親制度の活用や、生殖医療・代理出産の利用が考えられます。日本国内では、法的な制約が多いものの、現行の制度を活用すれば子供を迎え入れることは可能です。
それぞれの方法について、メリット・デメリットも踏まえて紹介します。
養子縁組・里親制度の活用
養子縁組や里親制度は、親を必要とする子供を第三者が家族として迎え入れる方法です。
日本では、同性カップルの片方が単独で養親になることは可能ですが、カップルとしての共同養子縁組は認められていません。そのため、もう一方のパートナーには法的な親権がない状態となります。一方で、里親制度は一部の自治体で同性カップルも認められており、一定の条件を満たせば子供を育てることができます。
メリットとデメリット
養子縁組・里親制度を活用するメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット
- 孤児や家庭の事情で養育が困難な子供に安定した家庭環境を提供できる
- 代理出産に比べて費用負担が少ない
- 里親制度を利用すれば、一定の支援を受けながら子育てができる
デメリット
- 日本では同性カップルの共同養子縁組が認められていない
- 法的に親子関係を持てるのは片方のパートナーのみ
- 里親制度の認可には厳しい審査があり、同性カップルの場合、自治体の対応によって判断が分かれる
生殖医療・代理出産の活用
生殖医療や代理出産を利用して、同性カップルが遺伝的につながりを持つ子供を授かることも考えられます。女性カップルの場合、精子提供を受けて人工授精を行うことで妊娠・出産が可能です。一方、男性カップルの場合は、代理母を利用して子供を授かる方法があります。
しかし、日本国内では代理出産が認められていないため、海外での手続きや渡航が必要になります。
そもそも、代理出産とは?詳しく知りたい方は以下の記事も合わせてご覧ください。
『代理出産とは?日本で禁止の理由や成功事例、費用までわかりやすく解説』
メリットとデメリット
同性カップルが子供を持つため、生殖医療・代理出産を活用するメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット
- 生物学的に自分たちの子供を持つことができる
- 精子提供や人工授精は比較的手軽に実施できる
- 代理出産を利用すれば、男性カップルでも子供を持てる
デメリット
- 日本国内では代理出産が法的に認められていない
- 代理出産は高額な費用がかかる(海外では数百万円~数千万円)
- 生殖医療に関する法律が国によって異なるため、手続きが複雑
同性カップルが子供を持つにはさまざまな課題がありますが、法律や社会の変化に伴い、今後新たな選択肢が増える可能性もあります。
そのほかの方法
同性カップルが子供を持つ方法として、養子縁組や生殖医療のほかにも、友情結婚や再生医療の進歩による可能性が考えられます。
友情結婚とは、恋愛関係ではなく、お互いの価値観や目的を共有したうえで結婚し、子供を持つことを前提にパートナーシップを築く方法です。同性カップルの中には、異性の友人と友情結婚をして子供を授かり、共同で育てるケースもあります。
また、今後iPS細胞(人工多能性幹細胞) を用いて、同性カップルの間でも卵子や精子を人工的に作れる可能性が研究されています。現在の技術では、マウスを用いた実験で精子や卵子のもとになる細胞が作られ、受精・出産に成功しています。
参考:ヒトiPS細胞から卵子と精子のもとを大量作製 京大、生殖医療研究進めるも倫理上の議論必要_科学技術振興機構
これがヒトにも応用されれば、同性カップルが遺伝的に自分たちの子供を持つことが可能になるかもしれません。
同性婚のカップルが遺伝的つながりのある子供を授かるプロセス
同性カップルが遺伝的に自分たちの子供を持つ方法として、女性カップルの場合は精子提供を受けて人工授精を行う方法、男性カップルの場合は代理出産を利用する方法が挙げられます。それぞれの方法について、詳しく紹介します。
【女性カップルの場合】精子提供と人工授精
女性カップルが遺伝的につながりのある子供を持つためには、精子提供を受けて人工授精や体外受精を行い妊娠・出産をする方法が一般的です。
日本国内でも一部の医療機関で精子提供を利用した生殖医療を受けることが可能ですが、同性カップルを対象にした支援が十分に整っているわけではありません。日本国内の精子バンクは提供者の情報開示が制限されていることから、海外の精子バンクを利用するケースもあります。
この方法の大きな利点は、遺伝的に片方の親のDNAを引き継ぐことができる点にあります。加えて、代理出産に比べて費用負担が少なく、比較的手軽に実施できるのも魅力のひとつです。
しかし、日本では同性カップルが共同で親権を持つことができず、出産しなかった側のパートナーが法的な親になれないという問題があります。そのため、実際に親子関係を確立するには、法的な壁が依然として存在します。
【男性カップルの場合】代理出産
男性カップルが遺伝的につながりのある子供を持つには、どちらかの精子と卵子ドナーによって受精卵を作り、代理母に移植して妊娠・出産をしてもらう「代理出産」が必要になります。
しかし、日本国内では代理出産が認められていないため、多くの同性カップルが海外での手続きを選択しています。主にアメリカやカナダの一部の州など、同性カップルの代理出産が合法的に認められている国で手続きを行い、卵子提供者から提供された卵子を用いて受精・胚移植を進めます。
この方法の大きな魅力は、妊娠するための器官を持たない男性カップルであっても遺伝的に片方の親のDNAを持つ子供を授かれる点ですが、代理出産には高額な費用がかかるという課題があります。国によって異なりますが、手続き全体で1,000万〜2,000万円以上の費用がかかることが一般的であり、経済的な負担は非常に大きいでしょう。また、代理母や卵子提供者との契約内容を慎重に決めなければ、倫理的な問題や将来的なトラブルにつながる可能性もあります。
同性カップルが遺伝的につながりのある子供を持つには、医学的な選択肢がある一方で、法的な課題や費用面のハードルが依然として高いのが現状です。しかし、世界的に生殖医療の進歩やLGBTQ+に対する法整備が進んでいることから、将来的にはより多くの同性カップルが家族を築く選択肢を持てるようになる可能性もあります。
実際に子供を授かった同性カップルの事例
世界各国では、同性婚をしたカップルが実際に子供を授かり、育てているケースが増えています。ここでは、スウェーデンで暮らす男性同性婚カップルの代理出産事例と、精子提供を利用して子供を産んだ女性同性カップルの事例を紹介します。
スウェーデンで暮らす男性同性婚カップル
スウェーデンは、LGBTQ+の権利が比較的進んでいる国のひとつであり、同性婚も合法化されています。
日本人男性のみっつんさんとスウェーデン人男性のリカさんカップルは、スウェーデンで同性婚をした後、アメリカの代理出産エージェントを利用し、卵子提供者と代理母を選定して受精・胚移植を行いました。その後、無事に代理母は妊娠し、息子を授かりました。
スウェーデンでは、同性カップルでも子供の親権を取得しやすく、出生届の手続きも比較的スムーズに進んだそうです。みっつんさんとリカさんは「ふたりパパ」として、スウェーデンでの子育ての日々をYouTubeで発信しています。
参考:スウェーデンで暮らす国際同性婚カップル。「子どもは無理だ」と思っていた僕たちが代理母出産で息子を授かるまで_たまひよオンライン
精子提供で子供を産んだ女性同性カップル
女性同性カップルの場合、精子提供を受けることで妊娠・出産をすることが可能です。
女性同士の同性カップルであるyadoさんとびんさんは、「子育てをしたい」という夢を叶えるため、知人のゲイ男性から精子提供を受け、息子を妊娠・出産しました。
当初、子供が欲しいという気持ちに対して周囲からの反発が強かったものの、実際に妊娠をすると多くの友人が受け入れてくれ、妊娠検診にも付き添ってくれたそうです。
現在は精子ドナーである男性とも交流を持ち、家族で過ごす日々を楽しんでいます。
参考:精子提供で子どもを作った「女性カップル」の現在_東洋経済オンライン
同性婚で子供を授かる・迎える際の心構え
同性カップルが子供を授かる・迎える際には、家族としての絆を深めるだけでなく、社会的な課題や子供の成長に関する配慮も必要になります。
特に、法制度の違いや社会的な認識の変化を踏まえ、事前にさまざまな準備を行うことで、より安定した子育て環境を築くことができるでしょう。実際に同性婚・同性カップルとして子供を持つ際に必要な心構えについて紹介します。
差別や偏見に直面した際の対処法を話し合う
同性カップルが子供を育てるうえで、社会の理解が十分でない地域では差別や偏見に直面する可能性があります。子供が学校や友人関係で「なぜお父さん・お母さんが二人いるの?」と聞かれることもあるかもしれません。このような状況に備えて、パートナー同士で事前に対処法を話し合い、子供にどう説明するかを決めておくことが重要です。
たとえば、同性カップルの家族が増えている国々では、「家族の形にはいろいろな種類がある」という考えを子供たちに教える教育が進められています。日本ではまだその意識が十分に広まっているとは言えませんが、家庭の中で「家族の多様性」についてオープンに話し合うことで、子供が自信を持って自分の家庭を説明できるようになります。また、同じような家族を持つコミュニティとつながり、子供が孤独を感じない環境を整えることも効果的です。
代理出産の場合は代理母とも取り決めをするのがベスト
代理出産を利用する場合、代理母との関係をどのように築くかも重要なポイントです。国やエージェントによって異なりますが、代理母との関係性には「出産後は一切の関与をしない」「一定の関係を維持する」など、さまざまな取り決めが存在します。
特に、将来的に子供が自分のルーツを知りたくなったときに、代理母とのつながりをどう扱うかを事前に決めておくことは重要です。契約の段階で、代理母との関係をどのように保つかを慎重に話し合い、必要に応じて弁護士を交えて明確な合意を交わすことが推奨されます。また、代理母との関係性を適切に維持することで、子供が成長した際に自分の出生について自然に理解しやすくなるでしょう。
子供の年齢に合わせて出生のことをわかりやすく伝える
子供が成長するにつれて、自分の出生や家族の形について疑問を持つことがあります。そのため、子供が理解しやすい形で、自分がどのようにして生まれたのかを伝える準備をしておくことが大切です。
幼少期から「あなたはとても愛されて生まれてきたんだよ」というメッセージを伝え、家族の形に関する絵本を活用するなどして、子供自身が自然に受け入れられる環境を整えましょう。年齢が上がるにつれて、具体的な生殖医療の話や、精子提供・代理出産の経緯などを、子供の理解度に応じて少しずつ説明していくことが望ましいです。
同性カップルが子供を授かる・迎えるには、家族としての強い絆を築くことはもちろん、社会の課題にも向き合う姿勢が求められます。事前の準備と周囲との協力によって、子供が安心して成長できる環境を整えることが何よりも大切です。
代理出産や精子・卵子ドナーを依頼する方法とは?
同性カップルが遺伝的につながりのある子供を授かるためには、代理出産や精子・卵子ドナーを活用する方法があります。しかし、これらの生殖医療技術を利用するには、国ごとに異なる法律や規制を理解し、慎重に手続きを進める必要があります。
そのため、直接海外の精子・卵子バンクに相談をするよりも、各国の生殖医療や代理出産を専門に取り扱うエージェントに依頼をするのがおすすめです。
信頼できるエージェントを選ぶことで、契約の管理や代理母との関係調整などを適切に進めることができます。手続きには、代理母やドナーの選定、受精卵の作成と移植、妊娠中のサポート、出生後の親権確定手続きなど、複雑なプロセスが含まれています。
同性カップルへの代理出産は禁止されている国も
代理出産は国ごとに法律が大きく異なり、同性カップルが利用できるかどうかも国によって制限されています。たとえば、日本では代理出産そのものが禁止されており、国内での手続きを進めることはできません。一方、アメリカやカナダの一部の州では、同性カップルが代理出産を利用できる法整備が整っています。また、ウクライナやロシアなどでは代理出産自体は合法ですが、利用できるのは異性カップルに限られるケースが多いです。
このような法的な違いを理解し、どの国で代理出産を行うのが適切かを慎重に判断することが必要になります。特に、代理出産で生まれた子供を日本国籍として登録する際の手続きも国ごとに異なるため、事前に専門家に相談しながら進めるのが望ましいでしょう。
まとめ
同性カップルが子供を授かるためには、養子縁組、精子・卵子ドナーの活用、代理出産などの選択肢があります。特に、遺伝的につながりのある子供を持つためには生殖医療の活用が不可欠ですが、日本国内では法的な制約が多く、海外の精子バンクや代理出産エージェントを利用するケースが一般的です。
同性カップルが子育てをする上で直面する社会的な課題や法的な問題を理解し、事前に十分な準備をすることが重要です。また、子供が自分のルーツを知りたくなった際に適切に対応できるよう、提供者や代理母との関係についても慎重に決めておくことが望ましいでしょう。
現在、同性カップルが子供を持つことに関する法整備や社会の受け入れは徐々に進んでいます。今後、より多くのカップルが安心して家族を築ける環境が整うことが期待されます。
※本記事の内容は、2025年2月時点の情報に基づいて作成しています。今後、ルールや法律の変更により内容が事実と異なる場合もありますので、ご了承ください。

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