2024-10-04
代理出産に関するウクライナの法律
代理出産の分野では、ウクライナの議員たちはヨーロッパの議員たちよりもずっと先進的であることが証明されています。今日、ウクライナはヨーロッパで数少ない代理出産に優しい国の一つであり、代理母が体外受精で妊娠した瞬間から、生物学的な両親(依頼した夫婦)が子供の両親となります。もちろん、出生証明書には代理母の記載は一切なく、生物学的な両親のみが明記されます。
世界中の9割の国は、・代理出産を全面的に禁止している国・代理出産を商業的に行うことを禁止している国・代理出産のプロセスを部分的に法で制限している国・代理出産に関する法が存在しない国(≒無法地帯)
であり、これらの国で代理出産を進めると問題が発生する可能性が高くなります。例えば日本の場合、代理出産の法が存在しない状態が続いています。ウクライナは、これら国とは異なり、代理出産に関わるプロセス(体外受精、卵子提供などの生殖補助医療に関わる全て)に法整備がなされています。最も重要なこととして、代理母は出産後、法的に子供を引き取ることができないということです。先述のとおり、受胎した瞬間から、子供は法律上、生物学的な両親(代理出産を依頼した夫婦)のものとみなされます。
ウクライナでは法整備が行き届いている(白か黒かの明確なルールが設けられている)おかげで、代理出産契約から親権が争われたケースは1件も記録されていません。
アメリカのいくつかの州の法律では、生物学的な両親と代理母との間の合意にかかわらず、代理母が出産後に子供を引き取ることを認めてしまっています。ロシア、チェコ、ギリシャなどの欧州でも同様の問題があり、親権を争って大問題に発展したケースが過去に何度も起きています。
準拠法
ウクライナの法律は、他のヨーロッパ諸国で見られる禁止事項や制限がなく、以下のような利点があると言われています。
・代理出産関連の支払いに制限がない(商業的な代理出産がOK)・裁判所命令を得るための追加的な法的手続きが不要・実子との養子縁組が不要・代理出産を依頼した異性愛者の夫婦(両親)の名前で出生証明書を発行できる・ドナーまたは代理母に親権はなく、法律上、受胎の瞬間から両親(代理出産を依頼した異性愛者の夫婦)の子となる
ウクライナにおける代理出産の法律は、ウクライナ家族法第123条(2006年12月22日改正、第524-V号)で規定されています。夫婦は、妊娠代理出産、卵子・精子提供、特別胚提供プログラム、またはこれらの組み合わせのいずれかを選択することができます。ウクライナの監督官庁からの特別な許可は必要ありません。必要なのは、代理出産プログラムに関わるすべての当事者(妊娠を希望する両親と代理母)の書面によるインフォームドコンセントと、取り決めを確認する関連契約書です。
代理出産はまた、人工授精と胚移植の医療処置に関するウクライナ保健省の命令24と771によって規制されています。重要な点として、この命令では、人工授精はウクライナ保健省が承認した方法に従って、特別に認定された医療機関でのみ実施されるべきであると規定しています。また、医療援助を求める夫婦に提供しなければならない情報のリスト(医療処置の詳細、将来の代理母の健康診断の結果など)も規定しています。
契約
(a)人工授精とフォローアップ医療を担当する医療施設、(b)代理母、(c)代理出産エージェントとの契約を含む、様々な契約を当事者間で締結しなければなりません。契約書についてウクライナの法律は有用なガイダンスを提供していませんので、重要な問題への対処は当事者自身の判断に委ねられています。代理出産契約は非常に複雑な文書となり、多くの不測の事態を反映しているものとなります。これらの契約書は、代理母と遺伝的夫婦(将来の両親)の関係を規定する法的文書となります。
代理出産契約
代理出産契約は、胚移植の前に書面で締結され、公証人によって署名されなければなりません。最低限、以下の事項を取り決めが必要です。
・代理母の健康状態・代理母が満たすべき(従うべき)条件・手術(処置)が行われる医療機関・代理母の報酬・追加費用・支払い条件・受精、妊娠、出産、出生証明書、子供の登録に関する費用・子供の譲渡と登録の手続き・障害児の出産・複数の子供の出産・死産・代理母の将来の不妊につながる出産の合併症など不可抗力の状況・子や第三者への情報の守秘義務や非開示に関する規定
などが挙げられます。
医療機関との契約
医療機関との契約は、主に医療機関が提供するサービスに関するもので、
・代理母の選定とその精密検査の責任・ウクライナ保健省が承認した方法と将来の(遺伝的)両親の要件に従ってすべての手続きを実施する義務・妊娠中の医学的モニタリングの条件・支払い条件・守秘義務・子供や第三者への情報の非開示
などが含まれます。
また、ウクライナの家族法では、代理出産で生まれた子供の遺伝上の両親は異性愛者の夫婦であると規定されているため、ウクライナの公証人は遺伝上の両親の婚姻証明書を公証し、アポスティーユ(アメリカでは各州の担当部局が発行)し、翻訳と通訳を公証する必要があります。
出生証明書
2000年10月18日付のウクライナ統計会計規則によると、外国人の夫婦はウクライナ内務省に出生登録を申請することができます。この場合、子供との遺伝的関係を証明する診断書と、代理母が出産した子どもの出生証明書に自分の名前を記載することに対する代理母の書面による同意を提出する必要があります。遺伝的な両親の名前は、子供の出生時に出生証明書に記録されます。委員会、裁判所、その他の機関から特別な許可を得る必要はありませんし、養子縁組の手続きも必要ありません。出生証明書は、子供のパスポートを取得する際の領事館への申請でも利用します。
代理出産に関するウクライナの法律まとめ
ウクライナで代理出産を計画している夫婦は、契約書に署名したり、金銭を支払ったり、不妊治療を開始したりする前に、代理出産やそこに纏わる問題に精通したウクライナのエージェント(法律家:弁護士と公証人も含む)の助言を求めるべきです。
生殖プログラムを開始する前に、公証人の立会いのもと、英語とウクライナ語で、代理出産に関する詳細な合意書を作成し、署名しなければなりません。この同意書(契約書)は、代理出産を希望する両親、代理母、子供の権利と義務を説明し、保護するものです。また、この同意書は子供を家(日本)に連れて帰るために必要な書類になります。
その他、医療機関(体外受精を行うクリニックや産院など)や各種行政機関との手続きや書類作成、アポスティーユや翻訳の手配など、不備があってはならない事務的な作業が多いため、真剣に代理出産をお考えのご夫婦は、私達BFYまでご相談ください。詳しいご案内を行います。
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