2024-07-19
タイで代理出産が禁止になった理由とは?安全に代理出産を依頼する方法
妊娠が難しい夫婦にとっての希望となる代理出産。日本人夫婦が海外へ渡航して代理出産を行う際、多く選ばれていた渡航先の一つにタイがありますが、2024年7月現在、タイでの商業的代理出産は禁止されています。
なぜ、タイでは代理出産を禁止する法改正に踏み切ったのでしょうか。それには、ある事件がきっかけとなっています。
この記事では、タイで代理出産が禁止となった詳しい経緯と、海外での代理出産の注意点について解説します。
2015年、タイでの代理出産が禁止に
2015年、タイにおける代理出産は完全に禁止されました。それまでタイは医療費が安価で代理母が見つけやすいことから、代理出産の国際的なハブとなっていましたが、ある事件がきっかけとなり法改正に至ったのです。
代理出産に関わる事件の発生を受け、タイ議会は2015年2月に代理出産を全面的に禁止する法案を可決します。違反した場合、依頼者・代理母ともに禁錮刑や罰金刑が科せられることになりました。
この法改正により、タイでの代理出産は事実上不可能となりました。
タイで代理出産が禁止になるまでの流れ
それでは、法改正以前のタイでの代理出産事情から、現在に至るまでの流れを紹介します。
2014年以前のタイにおける代理出産事情
2014年以前、タイでは代理出産が法的に認められていました。そのため、不妊に悩む外国人カップルの間で、代理出産を目的としたタイへの渡航が盛んに行われていたのです。
2014年以前のタイでは、代理出産にかかる費用が200万円〜300万円と比較的安価であったことも人気の理由の一つでした。
医療水準が極端に低いということもなかったため、日本を含む諸外国から多くのカップルが訪れていました。
きっかけとなったダウン症児引き取り拒否事件
2014年8月、タイで衝撃的な事件が起こりました。オーストラリア人カップルがタイの代理母を通じて双子を授かりましたが、そのうち1人の男児がダウン症と診断されると、カップルはその子だけを引き取ることを拒否したのです。
結果的に、ダウン症の男児の養育は代理母に託される形となりました。
この事件は世界的な注目を集め、タイにおける代理出産のあり方が問題視されるようになりました。特に、依頼者と代理母、そして生まれてくる子どもの権利をどう守るかが大きな課題として浮き彫りになったのです。
この事件がきっかけとなり、タイ議会では代理出産を全面的に禁止する法案の審議が進められることになりました。
タイ議会での代理出産禁止法案可決
2014年8月に発生したダウン症児引き取り拒否事件を受け、タイ議会では同年11月28日、商業的代理出産を全面的に禁止する法案が可決されました。この法律の主な内容は以下の通りです。
項目 |
内容 |
罰則 |
違反者には最大10年の懲役刑 |
対象 |
商業的代理出産に関わる全ての当事者 |
例外 |
血縁者間の代理出産のみ認める |
法の施行は2015年7月30日からとなり、これ以降タイでの代理出産は原則として禁止されることになりました。ただし、法律には血縁者間での代理出産を例外的に認める条項が盛り込まれています。
2015年以降のタイでの代理出産はどう変わった?
タイで商業的代理出産を禁止する法改正が行われたことによって、2015年から現在に至るまで、国内外に大きな影響が出ています。
法的に裁かれる範囲は、タイ国籍保有者だけではなく国外の依頼者にも及んでいます。
- タイ人女性
血縁者以外の代理母となることが禁止され、違反すると懲役刑や罰金刑に処される
- 依頼者(国籍問わず)
タイ人女性に代理出産を依頼することが禁止され、違反すると懲役刑や罰金刑に処される
- 代理出産仲介業者
代理出産あっせんが禁止され、違反すると懲役刑や罰金刑に処される
法の目をかいくぐって、タイでの代理出産を仲介する業者を選ぶ行為は非常に危険であることがおわかりいただけるかと思います。
日本人カップルへの影響
2014年以前、タイは代理出産を希望する日本人夫婦の人気渡航先の一つでした。しかし、法改正後、タイ現地のクリニックでは日本人カップル向けのサービスは一切行われなくなります。
タイでの代理出産を計画していた日本人カップルは、代替策を検討せざるを得なくなったのです。
なお、日本では、代理出産が法的に禁止されているというわけではなく、法律上の記載が無いという認識が正しいです。日本産科婦人科学会によって代理出産が認められていないため、代理母が出産できる医院がなく、実質不可能となっているのが現状です。
そのため、海外で代理出産を行い、我が子として育てること自体には全く問題ありません。
日本における代理母の現状については、以下の記事で詳しく解説しています。
代理出産を認めない国を利用するリスク
タイでの代理出産を検討していた方のなかには、「商業的代理出産が認められている欧米諸国よりも安価である」ということに魅力を感じていたケースもあるかもしれません。
万が一、タイを筆頭とした商業的代理出産を認めない国での違法な代理出産を検討しているのであれば、それは非常に危険な選択肢です。
代理出産を認めない国を利用することは、法律に抵触するだけではなく、以下に紹介するさまざまなリスクを持っています。
申告内容などの虚偽
代理出産が認められていない国では、公的に商業的代理出産を実施することができません。そのため、エージェントと代理母の間での連携が取れておらず、以下のような虚偽の申告が行われるケースがあります。
- 代理母の病歴の隠匿
- 代理母の戸籍の偽造
- 事実と異なる親子関係の記載
申告内容が信用できないと、依頼者の立場が不安定になるだけでなく、生まれてくる子どもにとっても望ましくない状況となってしまいます。代理出産を禁止している国では、このようなリスクが伴うことを理解しておく必要があります。
違法な医療行為
代理出産を禁止している国で行われる医療行為は、その国の医療水準に達していない可能性があります。代理母の健康診断や出産時の処置などが適切に行われているかどうかの確認が難しく、トラブルが起きた際の救済措置も期待できません。
違法な代理出産を依頼すると、医療水準の低さから母子ともに健康被害を受けるリスクが高まります。安全性や合法性が担保されない代理出産は避けるべきでしょう。
出産後のトラブル
無事に出産を迎えた後でも、商業的代理出産に関する法整備が行われていない国では親権や国籍取得などでトラブルが発生するリスクがあることも無視できません。
エージェントと代理母との間で連携が取れていないと、代理母が夫婦への子どもの引き渡しを拒否するというトラブルも懸念されます。
国外の依頼者による、商業的代理出産が禁止されている国では、このような事態に陥った際に法的に訴えるといった対応が難しくなります。
インドで発生した「マンジちゃん事件」
2008年にインドで発生した「マンジちゃん事件」をご存知でしょうか。
日本人夫婦の依頼で、インド人女性が代理母となって双子を出産しました。ところが、日本人夫婦が離婚し、父親が男児のみを引き取り、女児は取り残されてしまったという事件です。
代理母の親権も主張できない中、日本の外務省はマンジちゃんをインド人の里子に出すことを提案します。最終的にはマンジちゃんは、インド人夫婦に養子として引き取られることになりました。 法的な整備がない国での代理出産がいかに危険かを示す、象徴的な出来事と言えるでしょう。
海外で安全に代理出産を依頼するには?
海外での代理出産が、総じて危険であるというわけでは決してありません。
以下の注意点をきちんと押さえることで、海外での代理出産を安全に利用することができます。
- 代理出産に関する基本的な知識をつける
- 国によって認可・不認可があることを知る
- 信頼できるエージェントに依頼する
一つずつ、詳しく解説します。
代理出産に関する基本的な知識をつける
代理出産を検討する際は、まず基本的な知識をつけることが大切です。
まずは、以下のような代理出産における用語と定義を正しく理解しておきましょう。
用語 |
定義 |
代理出産 |
精子と卵子を受精させた受精卵を、第三者の女性の子宮に移植し、その女性が妊娠・出産すること |
代理母 |
依頼者夫婦・またはドナーによるの受精卵を子宮に移植し、妊娠・出産する女性のこと |
依頼者夫婦 |
代理出産を依頼するカップルのこと。代理出産の契約は、依頼者夫婦と代理母の間で締結される |
商業的代理出産 |
金銭的な対価を得ることを目的とした代理出産のこと |
利他的代理出産 |
家族や友人などが無償で代理母となる代理出産のこと |
代理出産にはさまざまな手順や法的問題が伴います。特に海外で代理出産を行う場合、国によって法律や規制が異なるため、事前の情報収集が不可欠です。また、代理母や依頼者夫婦の心身への負担なども十分に理解しておく必要があるでしょう。
国によって認可・不認可があることを知る
代理出産を依頼する際には、国ごとの法律や規制を理解することが重要です。代理出産を合法的に認めている主な国として、アメリカ合衆国、ウクライナ、ジョージアなどが挙げられます。
一方で、タイだけではなくシンガポールなどでも代理出産は禁止されています。
このように、国によって認可・不認可があることをきちんと理解しておきましょう。
また、代理出産を合法的に認めている国であっても、各国の法律によって規制の範囲が異なります。以下から、それぞれの国の法規制について詳しく解説します。
アメリカ合衆国
アメリカ合衆国では、代理出産に関する法律は州によって異なります。
認可・不認可の違いではなく、どのような条件で、どの範囲まで禁止しているかが以下のように異なるため、注意が必要です。
- カリフォルニア州
依頼者の婚姻状況を問わず利用可能で、信用出生証明書に依頼者夫婦の名前が記載される
- イリノイ州
依頼者に婚姻関係があることを条件に認められている。代理母の年齢制限あり
- アーカンソー州
依頼者に婚姻関係があることを条件に認められている。代理母は未婚者に限定
上記はあくまで簡略化した規制内容であり、実際には現地の法律はもっと複雑化しています。現地の言語や法律に関する知識に長けていなければ、安全な代理出産を選ぶことは難しいでしょう。
ウクライナ
ウクライナは、商業的代理出産が法律上で認められている国です。
婚姻関係にある夫婦が依頼者であることが条件となっており、産まれた子どもは依頼者夫婦と法的な親子関係になることが可能です。
法整備がきちんと行われているため、日本人夫婦からの代理出産ニーズも非常に高い国となっています。
ジョージア
ジョージアも、ウクライナと同様に商業的代理出産が法律上で認められています。
また、依頼者夫婦が子どもの法的な親になれるという点も同じです。ウクライナとの違いは、ジョージアの方が国の物価が高く低く、比較的安価で代理出産にかかる費用も高額になる傾向があるを依頼できるという点です。
国ごとの代理出産に関する法律の違いは、以下の記事で詳しく解説しています。
『商業的代理出産を認めている国一覧。安全な代理出産を行える国とは』
信頼できるエージェントに依頼する
日本では代理出産が実質的に不可能となっているため、日本人夫婦が代理出産を行うには海外渡航が必要になります。その際に、現地の医療機関や代理母と直接コミュニケーションをとるのは、この記事で紹介したようなトラブルのリスクが高いため、おすすめできません。
そのため、信頼できる代理出産エージェントを活用することが最も安全であると言えます。
代理出産のエージェントは「BabyForYou」
「Baby For You」は、信頼の実績がある代理出産エージェントです。
Baby For Youでは、これまでに多くの日本人ご夫婦へ赤ちゃんをお届けしてきました。海外の医療機関と信頼関係を築き、安全管理を徹底しているため、この記事で紹介したようなトラブルは一切発生しておりません。
代理出産プログラムのほか、卵子提供プログラム、精子提供プログラム、着床前診断・男女産み分けプログラムを提供しています。
Baby For Youは主にウクライナ、ジョージア、アルメニアの医療機関と提携し、安心・安全な代理出産を行っています。
厳しい審査による健康な代理母の選定や、海外現地でのサポート、日本国籍を取得するための手続き、心理カウンセラーによるメンタルケアなど、さまざまな面から依頼者さまをサポートいたします。
まとめ
かつてタイは国外からの代理出産依頼者を多く受け入れ、代理出産が盛んに行われていた国でしたが、2015年の法改正によってその状況は一変しました。
オーストラリア人夫婦による、ダウン症児引き取り拒否事件が発生したためです。
この事件は日本でも報じられたため、海外での代理出産に対してリスクがあるイメージを持つ方もいるかもしれませんが、信頼できるエージェントを介して、正しく法整備が行われている国へ渡航すれば安全な代理出産を実現できます。
代理出産エージェントをお探しなら、ぜひ「Baby For You」にご相談ください。
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