2024-12-19
着床しない原因とは?検査方法と治療法を詳しく解説
不妊治療を進める中で「なかなか着床しない……」という壁に直面し、悩む方は少なくありません。
妊娠は、受精卵が子宮内膜に着床し、成長を始めることから始まりますが、何らかの要因で着床が妨げられると、妊娠の成立が難しくなります。
本記事では、人工授精や体外受精でも着床しない原因や検査方法、治療法を詳しく解説します。また、着床障害と診断された場合の選択肢として注目される「代理出産」についても取り上げます。
着床しない・着床しにくい「着床障害」
着床障害とは、受精卵が子宮内膜にうまく付着し、妊娠に至らない状態を指します。通常、受精卵は子宮内膜に着床して成長を始めますが、この過程に異常が生じると妊娠が成立しません。
着床しない原因は胚や子宮の状態だけでなく、ホルモンバランスや免疫系の影響も含まれます。着床障害は、自然妊娠だけでなく人工授精や体外受精でも問題となることがあり、不妊治療の中で特に注目される課題です。
適切な検査と治療を行うことで、着床成功率を高められる可能性があります。
着床障害の定義
着床障害は、良好な胚が移植されたにもかかわらず、3回以上連続して着床しない場合に診断されることが一般的です。
診断の条件には胚の質、子宮内膜の厚みや環境、ホルモンの状態などが含まれます。さらに、免疫系の異常や血液凝固障害も関与することがあります。ただし、原因が多岐にわたるため、明確な診断が難しいケースも多いのが現状です。
人工授精や体外受精でも着床しない原因とは?
不妊治療を行う中で人工授精や体外受精を試みても着床しない場合、その原因は大きく分けて以下の3つが考えられます。
- 受精卵による原因
- 子宮による原因
- 免疫寛容による原因
これらの問題は単独ではなく複合的に関与している場合もあります。それぞれの要因について詳しく解説します。
受精卵による原因
受精卵に問題があると、着床しない原因となることがあります。受精卵が絡む要因は大きく分けて、染色体異常、卵子の質の低下、胚盤胞発生率の低下の3つが挙げられます。
- 染色体異常
卵子や精子の染色体の数や構造に異常がある状態です。染色体異常があると、着床率が低下したり、流産のリスクが高まったりします。高齢になるほど染色体異常の頻度は増加します。
- 卵子の質の低下
卵子の質も着床率に影響を与えます。加齢とともに卵子の質は低下し、染色体異常のリスクも高まります。また、卵子の質は生活習慣にも影響を受け、喫煙や過度な飲酒、偏った食生活などは卵子の質を低下させる可能性があります。
- 胚盤胞発生率の低下
胚盤胞とは、体外受精で受精後5~6日目に発育した受精卵のことです。胚盤胞まで正常に発育しない場合、着床率が低下することがあります。胚盤胞発生率の低下には、卵子の質や培養環境などが影響を与えていると考えられています。
子宮による原因
子宮は受精卵が着床し、胎児へと成長する場所です。そのため、子宮に何らかの異常があると、着床が阻害されることがあります。子宮による着床障害の原因として、子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮奇形、子宮内膜症などが挙げられます。
- 子宮筋腫
子宮の筋肉にできる良性の腫瘍「子宮筋腫」があると、受精卵が着床しにくくなるだけでなく、流産のリスクも高まります。子宮筋腫のできる場所や大きさによっては、着床障害に影響がない場合もあります。そのため、子宮筋腫があるからといって必ずしも着床障害に直結するわけではありません。
- 子宮内膜ポリープ
子宮内膜ポリープは子宮内膜の一部が過剰に増殖して、ポリープ状になったものです。子宮内膜ポリープがあると、受精卵が着床しにくくなることがあります。子宮内膜ポリープは比較的簡単に切除できるため、着床障害の原因となっている場合は切除が検討されます。
- 子宮奇形
生まれつき子宮の形に異常がある状態です。子宮奇形があると、着床障害や流産のリスクが高まる可能性があります。子宮奇形の種類によっては、妊娠・出産が可能となる場合もあります。
- 子宮内膜症
本来子宮の内側にある子宮内膜が、子宮以外の場所で増殖・剥離を繰り返す疾患です。子宮内膜症は、卵巣や卵管などに癒着を起こし、卵管の通過障害や排卵障害を引き起こすことで、不妊の原因となることがあります。また、子宮内膜症は子宮内膜の炎症を引き起こし、着床障害の原因となることもあります。
これらの異常は、子宮内膜の状態を変化させ、受精卵が着床しにくい環境を作り出してしまうのです。
子宮の奇形や欠損が発生する疾患「ロキタンスキー症候群」については、以下の記事で詳しく紹介しています。
『ロキタンスキー症候群とは?妊娠・出産を望む方に代理出産というご提案』
免疫寛容による原因
本来、母体の免疫系は胚を異物として認識せず、受け入れる「免疫寛容」という仕組みがあります。しかし、この仕組みが正常に働かないと、胚が攻撃され、着床が阻害されることがあります。また、自己免疫疾患や抗リン脂質抗体症候群がある場合も、着床成功率が低下します。
免疫寛容のメカニズムは複雑で、まだ完全に解明されていませんが、これらの細胞のバランスが着床に重要な役割を果たしていると考えられています。
着床しない疾患に対する検査
着床しない原因を特定するためには、以下のような専門的な検査が必要です。
- 基礎体温やホルモン値検査
- 超音波検査
- 子宮内膜受容能検査(ERA)
- 子宮内細菌叢検査(EMMA/ALICE)
- 慢性子宮内膜炎検査
- 免疫学的検査
- 遺伝子検査 (PGT-A)
これらの検査方法について、詳しく紹介します。
基礎体温やホルモン値検査
基礎体温の測定とホルモン値の検査は、排卵やホルモンバランスの異常を調べる基本的な方法です。
基礎体温は、毎朝目覚めた直後に測定する体温のことです。排卵が起こると、プロゲステロンというホルモンの分泌が増加し、体温が上昇します。基礎体温の変化を記録することで、排卵の時期や黄体期の持続期間を推定できます。高温期が短かったり、体温の上昇が不十分な場合は、排卵後の子宮内膜が受精卵の着床に適した状態になりにくい「黄体機能不全」が疑われます。
ホルモン値検査では、採取した血液からエストロゲンやプロゲステロン、甲状腺ホルモンなどを測定することで、妊娠に適したホルモン環境が整っているかを確認します。ホルモン値が正常範囲から逸脱している場合は、子宮内膜の成熟が妨げられ、着床しにくくなる可能性があるためです。
超音波検査
超音波検査では、子宮や卵巣の状態を詳しく調べます。子宮筋腫やポリープ、子宮内膜の厚さなどが着床の妨げになっている場合に特に有用です。また、卵巣機能の評価や排卵状況を確認するためにも行われます。
超音波検査は痛みが少なく、母体の負担を軽減できる検査方法として広く活用されています。
子宮内膜受容能検査(ERA)
子宮内膜受容能検査(ERA)は、子宮内膜が受精卵を受け入れる能力を調べる検査です。
子宮内膜組織を採取し、遺伝子レベルで内膜の状態を分析します。これにより、最適な胚移植のタイミングを特定することが可能です。ERAは特に、体外受精で着床が繰り返し失敗する場合に推奨されます。
子宮内細菌叢検査(EMMA/ALICE)
子宮内細菌叢検査(EMMA/ALICE)は、子宮内の細菌バランスを評価します。
正常な細菌叢は着床や妊娠維持に重要な役割を果たしますが、異常な細菌バランスや感染症がある場合、胚の着床が妨げられることがあります。
EMMAは、子宮内膜に存在する全ての細菌の種類と割合を調べ、細菌叢の全体像を把握します。ALICEは、慢性子宮内膜炎の原因菌に着目した検査です。これによって、より適切な抗生物質や治療法がわかります。
慢性子宮内膜炎検査
慢性子宮内膜炎は、子宮内膜に長期間炎症が存在する状態で、不妊や着床障害の原因となります。子宮内膜組織を採取して顕微鏡で調べることで、炎症の有無を確認します。
治療として抗生物質が処方されることが一般的です。特に、反復着床失敗のある場合に重要な検査です。
免疫学的検査
免疫学的検査では、母体の免疫システムが胚を拒絶している可能性を調べます。
免疫系が過剰に反応すると、胚が着床できず、妊娠の維持が困難になります。抗リン脂質抗体症候群やNK細胞の活性などを検査することで、免疫異常が着床障害に影響しているかを特定します。
遺伝子検査 (PGT-A)
遺伝子検査(PGT-A)は、受精卵の染色体異常を検出するために行われます。胚の染色体が正常でない場合、着床や妊娠の継続が困難になることがあります。
この検査は、体外受精で採取した胚を対象に行われ、特に高齢出産や反復流産のある患者に有効とされています。
着床率を高めるための治療法
着床率を高めるためには、原因に応じた適切な治療法を選択することが重要です。治療法は投薬治療や手術療法、先進的な免疫療法や体外受精技術の一つであるアシステッドハッチングまで多岐にわたります。以下で代表的な治療法について解説します。
投薬治療
ホルモンバランスを整えるための投薬治療は、着床率向上に有効です。
具体的には、排卵誘発剤や黄体ホルモンを補充する薬が使われます。これにより、子宮内膜を着床に適した状態に改善します。また、慢性子宮内膜炎が原因の場合には抗生剤を投与することで炎症を治療します。免疫系が影響している場合は、ステロイド剤が処方されることもあります。
手術を伴う治療
子宮筋腫やポリープ、子宮中隔などが着床障害の原因となっている場合、手術が検討されます。これらの異常を解消することで、受精卵が子宮内膜に付着しやすくなります。
手術は子宮鏡や腹腔鏡を用いる低侵襲な方法が一般的で、体への負担が少なく済む場合が多いです。手術後は着床率が大幅に改善するケースもあります。
免疫療法
免疫系の異常が着床障害に影響している場合、免疫療法が有効です。
代表的な方法として、免疫抑制剤やステロイド剤の投与が挙げられます。また、血液中のNK細胞(ナチュラルキラー細胞)の過剰活性化を抑える治療もあります。近年では、母体の免疫を調整するために静脈内免疫グロブリン療法(IVIG)が用いられることも増えています。
アシステッドハッチング
アシステッドハッチングは、体外受精で移植する胚の透明帯(殻)を人工的に薄くしたり切開したりする技術です。この処置により、胚が子宮内膜に付着しやすくなり、着床率が向上します。特に、胚の透明帯が硬い場合や高齢の患者、過去に胚移植を繰り返しても着床しなかった場合に推奨されます。レーザーや酸を使用する安全な方法で行われます。
着床障害と診断されても我が子を授かれる「代理出産」
着床障害が続き、従来の治療方法で妊娠が難しい場合、代理出産が選択肢の一つとなることがあります。
代理出産は、第三者(代理母)の子宮を借りて妊娠・出産を実現する方法です。依頼主ご夫婦の卵子と精子による受精卵を代理母に移植することで、100%遺伝的なつながりがある我が子を授かることができます。
しかし、日本では代理出産に関する法整備が行われていないため、国内での代理出産は実質不可能となっています。そのため、多くの日本人夫婦が海外で代理出産を行っています。
海外に渡航して代理出産を行うと聞くと、非常に難しいことのように感じる方がほとんどだと思いますが、日本人夫婦向けに海外の代理出産をサポートする専門のエージェントを活用することで安全な実施が可能です。
代理出産には専門のエージェントを活用
代理出産を実現するには、専門のエージェントを活用することが一般的です。
エージェントは、代理母の選定、契約内容の調整、医療機関の紹介など、多岐にわたるサポートを提供します。
商業的代理出産が認められている国では、日本とは法律や規制が異なるため、現地の事情に特化したエージェントの専門知識が不可欠です。また、代理母との信頼関係を構築するための調整や心理的なケアも行います。特に海外での代理出産を検討する場合、言語や文化の違いを考慮したプロのサポートが重要です。
海外での代理出産をサポートするエージェントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
『代理出産エージェントとは?選び方から費用・事例まで詳しく解説』
代理出産エージェントなら「Baby For You」
海外での代理出産を安心してお任せできる仲介業者をお探しなら、ぜひ「Baby For You」にご相談ください。
Baby For Youでは、これまでに多くの日本人ご夫婦へ赤ちゃんをお届けしてきました。会社組織として海外の医療機関と信頼関係を築き、弁護士も在籍している、実績のある代理出産エージェントです。
代理出産プログラムのほか、卵子提供プログラム、精子提供プログラム、着床前診断・男女産み分けプログラムを提供しています。
Baby For Youはウクライナやジョージア、カザフスタンの医療機関と提携し、安心・安全な代理出産を行っています。
厳しい審査による健康な代理母の選定や、海外現地でのサポート、日本国籍を取得するための手続きなど、さまざまな面から依頼者さまをサポートいたします。
まとめ
着床しない原因は多岐にわたり、ご自身の状況に適した検査や治療が必要になります。
この記事ではさまざまな検査や治療法をご紹介しましたが、着床しない原因の特定には、専門医による適切な診断と検査が必要です。「なかなか着床しない」というお悩みをお持ちの方は、まず医療機関を受診してみましょう。
原因が特定できない場合や、治療を続けても着床しない場合は、代理出産という選択肢もあります。代理出産は、依頼主ご夫婦の精子や卵子を使って、代理母の子宮で妊娠・出産する方法です。代理出産についてご興味がある方は、Baby For Youまでお気軽にご相談ください。
※本記事の内容は、2024年12月時点の情報に基づいて作成しています。今後、ルールや法律の変更により内容が事実と異なる場合もありますので、ご了承ください。
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