2024-12-24
凍結融解胚移植とは?流れ・費用・成功率を解説
不妊治療の一環として行われる体外受精には、採卵した卵子と精子を体外で受精させ、できた受精卵(胚)を子宮に戻す「胚移植」というステップがあります。胚移植には、採卵周期と同じ周期に移植する「新鮮胚移植」と、一度凍結保存した胚を融解して移植する「凍結融解胚移植」の2種類があります。近年、技術の進歩によって凍結保存技術が向上し、凍結融解胚移植を選択する方が増えています。
これらの手法にはそれぞれメリット・デメリットがあり、母体の状態や希望に合わせて最適な方法が選択されます。
この記事では、凍結融解胚移植について、新鮮胚移植との違いやメリット・デメリット、費用、成功率など、気になるポイントを詳しく解説していきます。
凍結融解胚移植とは?
凍結融解胚移植とは、体外受精で得られた受精卵(胚)を一度凍結保存し、後に融解して子宮内に移植する方法です。ホルモン環境や子宮内膜の状態が整っているタイミングに合わせて移植ができるため、妊娠率が高いとされています。
近年の技術向上により、凍結・融解による胚へのダメージは最小限に抑えられています。これによって、劣化を防ぎつつ長期間の保管が可能です。
新鮮胚移植との違い
新鮮胚移植は、受精卵を凍結せずに採卵周期の排卵後すぐに子宮へ移植する方法です。
一方、凍結融解胚移植は、受精卵を一度凍結保存し、後の適切なタイミングで移植します。新鮮胚移植は即時移植が可能ですが、ホルモン値の乱れや子宮内膜の準備不足が影響する場合があります。対して、凍結融解胚移植は、子宮内膜の状態が最適な時に移植できるため、妊娠の可能性が高まる傾向にあります。
患者の体調やホルモンの状態に応じて、どちらを選ぶか判断されます。
凍結融解胚移植が向いているケース
凍結融解胚移植が向いているケースには、以下のような状況があります。
- 採卵周期にホルモン値が乱れており、子宮内膜の状態が移植に適さない場合
- OHSS(卵巣過剰刺激症候群)のリスクがある方
- 複数の胚が採取できた場合
さらに、スケジュール調整が必要な患者や、移植前にPGT(着床前遺伝学的検査)を実施する場合にも、凍結融解胚移植が適しています。柔軟に移植時期を選べるため、体調やライフスタイルに合わせやすいのも特徴です。
凍結融解胚移植の流れ
凍結融解胚移植による体外受精は、以下のような流れで実施されます。
- 採卵・受精
- 胚の凍結保存
- ホルモン補充療法
- 融解・胚移植
各ステップについて、詳しくみていきましょう。
採卵・受精
凍結融解胚移植の最初のステップは採卵です。排卵誘発剤を使用して複数の卵胞を育て、超音波ガイド下で卵子を採取します。
採取した卵子は、パートナーの精子と受精させ、体外で受精卵(胚)を培養します。受精後、胚は数日間培養され、分割が順調に進んでいるかを確認します。この過程で良好な胚が選ばれ、次の凍結保存の段階へ進みます。
胚の凍結保存
良好な状態の胚が確認されると、専用の装置で凍結保存を行います。
凍結技術には「ガラス化法」と呼ばれる方法が用いられ、急速冷却によって胚を安全に保存します。この方法により、細胞内の氷晶形成を防ぎ、細かな氷晶によって細胞が傷ついてしまうダメージを最小限に抑えます。
凍結保存された胚は、数年単位で保管することが可能であり、必要な時に解凍して移植することができます。
ホルモン補充療法
凍結融解胚移植に向けて子宮内膜を最適な状態に整えるため、ホルモン補充療法が行われます。
主にエストロゲンやプロゲステロンを服用または貼り薬で補い、子宮内膜の厚さやホルモン環境を妊娠しやすい状態に調整します。治療期間中は定期的に超音波検査やホルモン値の測定を行い、子宮内膜が十分に整った段階で移植のスケジュールが決定されます。
融解・胚移植
移植の準備が整うと、凍結保存されていた胚を融解します。融解は急速かつ慎重に行われ、胚が正常に解凍されているかを確認した上で移植されます。
移植はカテーテルを使用して胚を子宮内に戻すため、痛みはほとんどありません。移植後は数日間、安静にしながら着床を待ちます。約1〜2週間後に妊娠判定を行い、結果が確認されます。
凍結融解胚移植のメリット
凍結融解胚移植のメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- 身体的負担の軽減
- 妊娠率の向上
- OHSSの重症化を防げる
それぞれ、詳しく解説します。
身体的負担の軽減
凍結融解胚移植は、採卵周期のすぐ後に移植を行わないため、患者の身体的負担を軽減できる点が大きなメリットです。採卵後はホルモン値が不安定になりやすく、体調が優れないことも少なくありません。一度胚を凍結保存することで、体調が回復してから移植に進めるため、無理なく治療を続けられます。
治療のスケジュールも調整しやすく、精神的な負担軽減にもつながります。
妊娠率の向上
凍結融解胚移植では、子宮内膜の状態が最も妊娠しやすい時期を選んで胚を移植することができます。採卵周期ではホルモン刺激による内膜の乱れが起きやすい一方、凍結保存を利用することで内膜を十分に整える時間が確保され、着床率が高まるのです。
また、複数の胚を保存しておくことで、複数回の移植が可能になり、妊娠のチャンスを広げることができます。
OHSSの重症化を防げる
OHSS(卵巣過剰刺激症候群)は、排卵誘発剤の使用によって引き起こされる副作用の一つで、重症化すると入院が必要になることもあります。
凍結融解胚移植では、採卵後すぐに移植を行わず、ホルモン刺激による体の負担を軽減できるため、OHSSの重症化リスクを回避しやすいのが特徴です。体調が整った後に移植することで、安全かつ効果的な治療が可能になります。
凍結融解胚移植のデメリット
メリットが多い凍結融解胚移植ですが、以下のようなデメリットもあります。
- 費用がかかる
- 胚がダメージを受ける可能性がある
- 移植までの待ち時間が生じる
こちらも詳しくみていきましょう。
費用がかかる
凍結融解胚移植は、通常の体外受精に加えて、胚の凍結保存や融解にかかる費用が発生します。具体的には、凍結保存費用や管理費、さらに移植時の融解費用が必要です。
医療機関や治療内容によって費用は異なりますが、長期間の保存を希望する場合、年間の管理費が加算されることもあります。そのため、経済的な負担が通常の新鮮胚移植に比べて大きくなる傾向にあります。
詳しい費用については、後ほど解説いたします。
胚がダメージを受ける可能性がある
凍結・融解の過程で、胚が物理的なダメージを受ける可能性がわずかにあります。現代の凍結技術は大幅に向上しており、胚への影響は最小限に抑えられていますが、それでも融解後に胚の一部が損傷するリスクはゼロではありません。
特に、胚の質や凍結前の状態によっては、融解後に移植できる状態に保てないケースも考えられます。このため、良好な胚を複数保存しておくことが推奨されています。
移植までの待ち時間が生じる
凍結融解胚移植では、採卵後すぐに移植せず、ホルモン補充療法を行いながら子宮内膜を整える必要があります。そのため、新鮮胚移植に比べて移植までの期間が長くなり、治療のスケジュールに時間がかかるという点は、デメリットとなります。
患者の体調やホルモン状態によっては、さらに待機期間が延びることもあり、治療に対する心理的負担を感じることがあります。
凍結融解胚移植にかかる費用
凍結融解胚移植は保険診療が可能です。
しかし、通常の体外受精に加え、胚の凍結や保存にかかる費用が発生するため高額になる傾向があります。
費用の内訳の一例は以下の通りです。
採卵費用… 17,000円〜30,000円
受精卵の培養費用… 20,000円〜40,000円
凍結保存費用… 15,000円〜40,000円
移植費用… 36,000円/回
(クリニックの方針や母体の状況などによって大きく変動します。)
医療機関や地域によって異なりますが、1回の移植にかかる費用は10〜20万円程度が相場です。また、胚を長期間保存する場合は、年間で数万円程度の管理費用も必要です。
近年は保険適用だけではなく助成金制度も拡充されているため、事前に確認しておくとよいでしょう。
凍結融解胚移植の成功率
凍結融解胚移植の成功率は年齢によって大きく異なります。特に女性の年齢が上がるにつれて卵子の質が低下するため、妊娠率が減少する傾向にあります。一方、凍結胚は保存状態が良ければ長期間にわたって質を保てるため、適切なタイミングで移植することで成功率を高めることが可能です。以下に30代と40代の成功率について解説します。
30代の成功率
30代の凍結融解胚移植の成功率は比較的高く、40〜50%程度とされています。特に35歳以下の場合、卵子の質が良好であることが多く、妊娠率や出産率も高い傾向にあります。
また、体外受精で複数の胚を確保できるケースが多いため、複数回の移植を行うことで妊娠の可能性がさらに高まります。
40代の成功率
40代になると、凍結融解胚移植の成功率は10〜20%程度に低下します。卵子の加齢により染色体異常のリスクが増加し、胚の質が低下することが主な要因です。
特に45歳を超えると自然妊娠や移植での妊娠成功率は著しく低くなるため、早期の治療が重要です。一方、グレードの高い、質の良い胚を選ぶことで、40代でも一定の成功率が期待できます。また、着床前診断を併用することで妊娠の可能性を高めることも考えられます。
着床前遺伝子診断については以下の記事で詳しく紹介しています。
不妊治療の選択肢に「代理出産」
高齢になると、不妊治療が長引くケースが多く、我が子を諦めることを考えてしまう方もいるかもしれません。しかし、不妊治療の選択肢の一つとして「代理出産」を選ぶこともできます。
代理出産とは、何らかの理由で妊娠が難しい女性に代わり、第三者(代理母)が妊娠・出産を行う方法です。主に重度の子宮疾患や子宮摘出後の女性、高齢で妊娠継続が困難な方が対象となります。
近年、海外で代理出産を選択するカップルが増えており、ウクライナやジョージアなど商業的代理出産が法的に認められている国で主に実施されています。依頼主ご夫婦の卵子と精子による受精卵を代理母に移植することで、100%遺伝的なつながりがある我が子を授かることができます。
安全な代理出産はエージェント活用で実現
残念ながら日本国内では代理出産の実施は実質不可能となっているため、海外で代理出産を行うこととなります。
海外での代理出産を安全に進めるためには、専門のエージェントの活用が重要です。エージェントは、代理出産に関する法的手続きや医療機関との調整、代理母の選定からサポート体制の構築までを一括で支援します。特に海外での代理出産は言語の壁や国ごとの法的規制があるため、信頼できるエージェントを選ぶことでトラブルを避け、安心して手続きを進められます。費用やサポート内容はエージェントごとに異なるため、事前に実績や評判を確認することが成功のカギです。
海外での代理出産をサポートするエージェントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
『代理出産エージェントとは?選び方から費用・事例まで詳しく解説』
代理出産エージェントなら「Baby For You」
海外での代理出産を安心してお任せできる仲介業者をお探しなら、ぜひ「Baby For You」にご相談ください。
Baby For Youでは、これまでに多くの日本人ご夫婦へ赤ちゃんをお届けしてきました。会社組織として海外の医療機関と信頼関係を築き、弁護士も在籍している、実績のある代理出産エージェントです。
代理出産プログラムのほか、卵子提供プログラム、精子提供プログラム、着床前診断・男女産み分けプログラムを提供しています。
Baby For Youはウクライナやジョージア、カザフスタンの医療機関と提携し、安心・安全な代理出産を行っています。
厳しい審査による健康な代理母の選定や、海外現地でのサポート、日本国籍を取得するための手続きなど、さまざまな面から依頼者さまをサポートいたします。
まとめ
凍結融解胚移植は、体外受精で得た受精卵を一度凍結し、最適なタイミングで融解して移植する方法です。新鮮胚移植に比べ、妊娠率の向上や身体的負担の軽減、OHSSの重症化を防ぐメリットがありますが、費用や待ち時間、胚へのダメージリスクといったデメリットも存在します。また、年齢によって成功率が異なり、30代は比較的高い一方、40代では低下する傾向があります。不妊治療の選択肢として代理出産もあり、信頼できるエージェントの活用が安全な実施に欠かせません。適切な治療法を選び、心身ともに負担の少ない方法で進めることが大切です。
海外での代理出産をお考えの方は、ぜひBaby for youにご相談ください。
※本記事の内容は、2024年12月時点の情報に基づいて作成しています。今後、ルールや法律の変更により内容が事実と異なる場合もありますので、ご了承ください。
CONTACTお問い合わせ・LINE・zoom面談
どのようなご質問でも、お気軽にお送りくださいませ。
必ず24時間以内にはお返事をお送りしております。
このご相談が『大きな一歩』になると思います。