2025-02-18
代理出産はボランティアで依頼できる?無報酬で実施する上での課題とは

代理出産は、不妊治療の選択肢の一つとして注目されていますが、倫理的・法的な課題が多く、国によって対応が異なります。代理母に対する報酬も、まとまった金銭で支払うケースと無報酬でのボランティアとして依頼するケースの2パターンがあります。
「ボランティア代理出産」は現実的にどこまで可能なのか、商業的代理出産が合法な国と禁止されている国ではどのような違いがあるのか気になる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ボランティアでの代理母探しの方法や、商業的代理出産のメリット・課題について詳しく解説し、安全に代理出産を進めるためのポイントを紹介します。
代理出産をボランティアとして無報酬で依頼するケースとは?
代理出産には、報酬を支払う「商業的代理出産」と、金銭的報酬を受け取らずに行う「利他的代理出産(ボランティア代理出産)」の2種類があります。
ボランティアとして代理出産を依頼するケースは、主に法的に商業的代理出産が認められていない国や、倫理的観点から金銭のやり取りを伴わない形で実施される場合に限られます。
具体的には、親族や友人が善意で代理母を申し出るケースや、特定の支援団体を通じて行われるケースが考えられます。
しかし、報酬のやり取りがないとしても、代理母にかかる医療費や生活費の補助は必要となるため、完全な無償での実施は現実的に難しいとされています。また、心理的・身体的負担の大きさから、実際にボランティアで代理出産を引き受ける人は限られており、依頼者側も慎重な検討が求められます。
商業的代理出産が禁止される背景
商業的代理出産が禁止される背景には、倫理的・法的な懸念が大きく影響しています。
特に、代理母が経済的困窮を理由に出産を引き受けるケースが増えると、人身売買や搾取のリスクが高まると考えられています。そのため、多くの国では代理出産の商業化を制限し、営利目的の取引を禁止する法制度を設けています。
しかし、無報酬による代理出産の方がトラブルや事件が多く起きてしまっているのが事実です。商業的代理出産を法的に認めている国では、報酬によって代理母と依頼人の契約が確固たるものとなり、安全な代理出産を実現しています。
代理出産によって発生したトラブルの事例については、以下の記事で詳しく紹介しています。
『代理出産で起こりうるトラブルとは?トラブルを避ける方法と事例を紹介』
ボランティアでの代理母を探す方法
代理出産をボランティアで依頼する場合、商業的代理出産が禁止されている国では特に代理母探しが難しくなります。無報酬で引き受ける意思を持つ人は限られており、倫理的・法的な問題もあるため慎重な対応が求められます。
代理母を見つける主な方法として、
- SNSやインターネットを活用する
- 友人や知り合いに依頼する
- 家族や姉妹に依頼する
といった内容が挙げられます。それぞれの方法について、詳しくみていきましょう。
SNSやインターネットを通じて探す
近年、SNSやインターネット上のフォーラムを利用して代理母を探すケースが増えています。
特に代理出産に関するコミュニティや支援団体のウェブサイトでは、代理母を希望する人と依頼者をマッチングするサービスが提供されることもあります。
ただし、ボランティアの代理母を見つけるのは容易ではなく、詐欺や違法な仲介業者にも注意しなくてはなりません。また、法律によって代理出産が規制されている国では、ネット上での募集行為自体が違法となる場合もあるため、事前に法的な確認が不可欠です。仮に適切な相手が見つかったとしても、信頼関係を築くための慎重なコミュニケーションが求められます。
友人や知り合いに依頼する
代理母をボランティアで依頼する方法の一つに、親しい友人や知り合いに相談するケースがあります。特に、信頼関係が築かれている相手であれば、心の負担が軽減され、トラブルが発生するリスクも比較的低くなります。
しかし、たとえ親しい関係であっても、妊娠・出産に伴う肉体的・精神的な負担は大きく、後々の関係性に影響を及ぼす可能性もあります。そのため、十分な話し合いを行い、お互いの気持ちを尊重した上で決定することが重要です。また、医療面や法的な手続きをしっかりと確認し、書面で合意内容を記録することもトラブル防止につながります。
家族や姉妹に依頼する
代理出産を無償で依頼する際に最も現実的な方法の一つが、家族や姉妹に依頼することです。
特に、姉妹や母親など、血縁関係のある人が代理母を務めるケースは比較的多く、信頼関係も築きやすいとされています。家族間での代理出産は、遺伝的なつながりや価値観の共有があるため、他の方法よりもスムーズに進む可能性があります。
しかし、親族間であっても精神的な負担が伴い、妊娠や出産の過程で意見の食い違いが生じることもあります。さらに、代理母となる家族が自身の健康を損なうリスクもあるため、医療機関と連携しながら慎重に進めることが求められます。代理出産後の関係性についても十分に話し合い、お互いが納得できる形を事前に決めておくことが大切です。
ボランティアでの代理出産を依頼することが困難な理由
代理出産をボランティアで依頼することは、多くの法的・倫理的なハードルがあり、現実的には非常に困難です。その理由として、以下が挙げられます。
- 他の国では報酬がもらえるケースもあるため
- 妊娠・出産による身体的な負担が大きいため
- 他人に依頼する場合信頼関係を結ぶことが難しいため
それぞれの内容について、詳しく紹介します。
他の国では報酬がもらえるケースもあるため
一部の国では、代理母に報酬を支払う「商業的代理出産」が合法とされており、代理母は経済的なメリットを得ることができます。
例えば、アメリカやロシア、ウクライナなどでは商業的代理出産が認められ、代理母には一定の報酬が支払われます。そのため、代理出産を希望する人が無償で引き受けてくれる代理母を探すことは難しくなります。
ボランティアで代理母を探すよりも、商業的代理出産が認められている国で依頼するほうが現実的な選択肢と考えられるでしょう。
商業的代理出産が認められている国については、以下の記事で詳しく紹介しています。
『商業的代理出産を認めている国一覧。安全な代理出産を行える国とは』
妊娠・出産による身体的な負担が大きいため
妊娠・出産は女性の身体に大きな負担をかける行為であり、特に代理出産では精神的ストレスも加わります。つわりや体重増加、ホルモンバランスの変化による体調不良だけでなく、長期間の医療管理が必要となります。
また、出産時には母体へのリスクが伴い、合併症や帝王切開などの可能性も考慮しなければなりません。ボランティアとして代理出産を引き受ける場合、自分自身の健康リスクを負うことになるため、無償で提供することに対する心理的ハードルも非常に高くなります。妊娠期間中は仕事や日常生活にも大きな影響を及ぼすため、生活面でのサポートが不可欠です。
そのため、ボランティアとして引き受ける代理母が見つからない要因の一つとなっています。
他人に依頼する場合信頼関係を結ぶことが難しいため
代理出産は依頼者と代理母の間で強い信頼関係が求められるものの、初対面の他人同士ではそれを築くのが困難です。
代理母は自身の体を預ける立場であり、依頼者も自分の子どもを代理母に託す形になるため、双方にとって安心できる環境が必要です。しかし、見ず知らずの相手に無償で代理出産を依頼する場合、互いの価値観や責任感の違いからトラブルに発展するリスクが高まります。
例えば、妊娠中の生活習慣や医療管理の方針に相違が生じた場合、意見の食い違いが問題となる可能性があるでしょう。そのため、代理母と依頼者の双方が納得し合い、安心して進められる関係を築くことは、ボランティアでの代理出産を成功させる上での大きな課題となっています。
報酬の支払いが禁止されている国での代理出産事情
報酬の支払いが法律で禁止されている国では、代理出産を行う場合、基本的にはボランティアとして引き受ける形になります。しかし、実際には「報酬」とは別の形で金銭が渡されるケースも少なくありません。
例えば、代理母の医療費や生活費の全額負担、妊娠中のサポート費用、出産後の補助金などの名目で金銭的な支援が行われることがあります。これらの支払いは法律的には「報酬」ではなく、「必要経費の補填」として処理されることが多いため、完全に無償というわけではありません。
また、報酬が禁止されている国では、代理出産が非公式に行われることもあり、その結果として契約不履行や子どもの引き渡しを巡るトラブルが発生することもあります。そのため、依頼者側も代理母側も慎重に手続きを進め、法的リスクを最小限に抑える必要があります。
商業的代理出産が認められていることによるメリット
商業的代理出産が認められている国では、代理母と依頼者の間で公平な契約を結ぶことができ、トラブルを未然に防ぐ仕組みが整っています。報酬を前提とすることで、代理母側も経済的な補償を受けられ、妊娠・出産に伴うリスクをある程度軽減することが可能です。また、契約内容が明確になるため、出産後の引き渡しや親権の問題などをスムーズに進められるのも大きな利点です。
商業的代理出産が認められていることによるメリットをみていきましょう。
代理母と公平な契約が結べる
商業的代理出産が合法な国では、代理母と依頼者の間で詳細な契約を交わし、報酬の支払いを前提とした権利と義務を明確にできます。契約には、代理母への報酬の支払い条件、医療費の負担、妊娠中の生活管理に関する取り決め、出産後の子どもの引き渡しに関するルールなどが含まれます。
これにより、代理母は適切な補償を受けながら妊娠・出産に臨むことができ、依頼者も安心して代理出産を進められます。また、契約書を基に法的なトラブルを防ぐための措置が取られるため、双方にとって公平な取引が成立します。
代理出産によるトラブルが防げる
商業的代理出産が認められている国では、制度として代理母の選定や契約が厳格に管理されており、トラブルを防ぐための仕組みが整っています。例えば、代理母が出産後に子どもを引き渡さないといった問題を防ぐために、契約書には親権に関する詳細な規定が盛り込まれています。また、医療機関や専門の代理出産エージェントが仲介することで、妊娠中の健康管理や心理的サポートが充実し、代理母の負担を軽減することもできます。
依頼者側も事前に適切な費用を支払い、代理出産プロセスを計画的に進めることができるため、予期せぬ問題が発生しにくくなります。このように、商業的代理出産はリスクを抑え、スムーズな代理出産の実現につながる重要な要素となっています。
「報酬を受け取る=悪」とは限らない
代理出産において「報酬を受け取る=悪」と考えられることがありますが、必ずしもそうではありません。むしろ、無報酬での代理出産の方が、トラブルや事件が発生する確率が高まるリスクがあります。
代理母は妊娠・出産を通じて身体的、精神的な負担を負うだけでなく、長期間にわたる健康管理が必要になります。こうした負担に対して正当な対価を支払うことは、代理母の権利を守り、公平な契約を成立させるために重要です。
また、無償での代理出産が求められる場合、代理母が経済的な補助を受けられず、結果的に生活が困窮する可能性もあります。特に、医療費や生活費が十分に補填されない状況では、代理母が適切なケアを受けられず、妊娠中の健康管理が十分に行われないリスクも高まります。
そのため、商業的代理出産が合法化されている国では、適正な報酬を支払い、代理母の健康や生活を保障する仕組みを整えています。報酬があることで代理母側の意思が明確になり、双方にとって安心できる契約が成立しやすくなるのです。
商業的代理出産が認められている国とは?
商業的代理出産が合法とされている国は限られていますが、いくつかの国では制度が整備されており、適正な契約のもとで実施されています。代表的な国としては、アメリカ(特定の州)、ロシア、ウクライナ、ジョージアなどがあります。
これらの国では、代理出産の契約内容や報酬の支払い方法が法的に整備されており、代理母が適切な報酬を受け取れる仕組みになっています。
ただし、国ごとに法律や規制が異なり、依頼者が国外から利用する際には慎重な調査が必要です。例えば、アメリカでは州によって代理出産に関する法律が異なり、カリフォルニア州などでは商業的代理出産が合法ですが、他の州では禁止されている場合もあります。そのため、商業的代理出産を検討する際には、現地の法律や手続きについて十分な情報収集が求められます。
代理出産による報酬の相場
商業的代理出産が認められているウクライナでは、代理出産による報酬の相場は28,000ドル~32,000ドル(約420万~480万円)ほどとされています。
これは、ウクライナの平均年収に換算すると約3~4年分に相当する金額です。
ウクライナで代理母となる女性の多くは、代理出産によって得た報酬を生活費に充てたり、実子の進学資金にしたりするケースが多いとされています。
商業的代理出産が認められている国で実際に代理出産を依頼する際の費用については、以下の記事で詳しく紹介しています。
『代理出産の費用はいくら?費用内訳や費用に関する注意点6つを紹介』
不当な搾取とならないためのルール作り
商業的代理出産が認められている国では、不当な搾取を防ぐために厳格なルールが設けられています。例えば、代理母が経済的に困窮していないことを確認する規定や、依頼者が医療費や出産費用を負担する義務などが定められています。これにより、代理母が金銭目的で無理に引き受けたり、過度な負担を強いられることを防いでいます。
また、契約前のカウンセリングを義務付ける国も多く、代理母と依頼者が互いに納得した上で契約を結ぶことが重要視されています。代理出産を斡旋するエージェントにも厳しい基準が設けられ、不正な仲介業者によるトラブルを防ぐ仕組みが整えられています。
代理出産は非常にデリケートな問題であり、代理母の権利を守りながら適正な契約を結ぶことが求められます。そのため、単に報酬を支払うだけでなく、代理母が安全かつ健康に出産できる環境を整えることが、健全な代理出産制度の実現につながるのです。
安全な代理出産を実施するにはエージェントに相談
代理出産を安全に進めるためには、専門のエージェントに相談することが重要です。
代理出産は医療的・法律的な側面が複雑であり、個人で進めるには多くのリスクが伴います。エージェントを利用することで、適切な代理母の選定、契約手続き、医療管理、法的サポートなど、スムーズな進行をサポートしてもらえます。
特に、商業的代理出産が合法な国では、現地の法律に精通したエージェントが制度の整った環境で代理母を紹介し、必要な手続きを代行してくれます。代理母の健康状態や経済状況の確認、妊娠中の医療サポート、出産後の引き渡しに関する契約などを専門的に管理しているため、依頼者と代理母の双方が安心して進めることができます。また、国によっては代理出産の手続きが非常に厳格であり、現地の法律を理解していないとトラブルに発展する可能性もあるため、法的なアドバイスを提供できるエージェントの存在は不可欠です。
代理出産を検討する際は、エージェントの実績や評判、サポート内容を事前に確認し、十分な情報を得た上で契約を結ぶようにしましょう。
海外での代理出産をサポートするエージェントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
『代理出産エージェントとは?選び方から費用・事例まで詳しく解説』
代理出産エージェントなら「Baby For You」
海外での代理出産を安心してお任せできる仲介業者をお探しなら、ぜひ「Baby For You」にご相談ください。
Baby For Youでは、これまでに多くの日本人ご夫婦へ赤ちゃんをお届けしてきました。会社組織として海外の医療機関と信頼関係を築き、弁護士も在籍している、実績のある代理出産エージェントです。
代理出産プログラムのほか、卵子提供プログラム、精子提供プログラム、着床前診断・男女産み分けプログラムを提供しています。
Baby For Youはウクライナやジョージア、カザフスタンの医療機関と提携し、安心・安全な代理出産を行っています。
厳しい審査による健康な代理母の選定や、海外現地でのサポート、日本国籍を取得するための手続きなど、さまざまな面から依頼者さまをサポートいたします。
まとめ
代理出産はボランティアとして無報酬で依頼することも可能ですが、現実的には困難な課題が多く存在します。報酬の支払いが禁止されている国では、生活費や医療費の補填など別の形で金銭が渡されることが一般的です。一方、商業的代理出産が認められている国では、適正な契約を結び、トラブルを防ぐ仕組みが整っています。報酬を支払うことで代理母の権利を守り、公平な関係を築くことが可能です。
また、代理出産を安全に進めるためには、専門のエージェントに相談し、法的手続きや医療管理を適切に行うことが大切です。代理出産を検討する際は、法律や制度を十分に理解し、信頼できるエージェントのサポートを受けながら進めることが、安全で円滑な実施につながるでしょう。
海外での代理出産を検討される場合は、「Baby For You」にぜひご相談ください。
※本記事の内容は、2025年2月時点の情報に基づいて作成しています。今後、ルールや法律の変更により内容が事実と異なる場合もありますので、ご了承ください。

CONTACTお問い合わせ・LINE・zoom面談
どのようなご質問でも、お気軽にお送りくださいませ。
必ず24時間以内にはお返事をお送りしております。
このご相談が『大きな一歩』になると思います。