2024-07-08

NIPT(新型出生前診断)・羊水検査とは?違いやメリット・デメリットを解説

NIPT(新型出生前診断)・羊水検査とは?違いやメリット・デメリットを解説

近年、出生前診断技術は飛躍的に進歩しており、特にNIPT(新型出生前診断)と羊水検査は、多くの妊婦さんたちにとって重要な選択肢となっています。これらの検査は妊娠中の胎児に可能性のある遺伝的異常を調べる方法であり、それぞれにメリットとデメリットが存在します。

そこで本記事では、NIPTと羊水検査の基本的な情報や違い、そしてそれぞれのメリットとデメリットについて詳しく解説します。これから出生前診断を考えている方や関心がある方はぜひご覧ください。

 

NIPT(新型出生前診断)とは

NIPTは、妊婦さんを対象とした出生前検査の一種です。この検査では、母体から採取した少量の血液を分析することで、胎児の染色体異常の可能性を調べることができます。

NIPTの仕組みは以下の通りです。

 

  1. 妊婦さんから採血を行います。
  2. 採取した血液から、胎児由来の細胞外DNA(cfDNA)を抽出します。
  3. cfDNAを分析し、特定の染色体(21番、18番、13番)の量的異常を調べます。

 

NIPTにより、ダウン症候群(21トリソミー)、エドワーズ症候群(18トリソミー)、パトウ症候群(13トリソミー)の染色体異常を検査できます。

NIPTの精度は非常に高く、検出率は99%以上とされています。一方で、確定診断ではないため、陽性結果が出た場合は羊水検査などの確定診断を受ける必要があります。

なお、現在の日本でNIPTを受ける際には「出産予定日時点で妊婦さんが35歳以上」という制限が設けられているケースがほとんどです。

 

羊水検査とは

羊水検査は妊娠15週以降に行われる検査で、赤ちゃんの染色体異常の有無を調べることができます。羊水検査では主に以下の3つの方法が用いられます。

 

  • G分染法(G-band)
  • FISH法
  • マイクロアレイ法

 

それぞれの方法について詳しくご紹介します。

 

G分染法(G-band)

G分染法は羊水検査の中でも最もスタンダードな染色体検査法の一つです。この方法では、採取した羊水中の細胞を培養・増殖させた後、特殊な染色液で染め分けることで、染色体のバンドパターンを可視化します。

結果判明までに2〜3週間程度の時間を要しますが、G分染法によって、ダウン症候群をはじめとする主な染色体異常を高い精度で検出できます。一方で、稀な染色体異常の見落としや、モザイク(複数の細胞系統が混在する状態)の検出が難しいというデメリットもあります。

 

FISH法

FISH法は、Fluorescence in situ hybridization(蛍光 in situ ハイブリダイゼーション)の略称です。羊水中の細胞を用いて検査します。特定の染色体や遺伝子を蛍光標識した断片DNA(プローブ)を組み合わせ、それらの有無や数を調べる方法です。

FISH法は、G分染法では検出が難しい微細な染色体異常を検出できるメリットがあります。一方で、検査対象が限定的であることや、費用が高額なことがデメリットとして挙げられます。

 

マイクロアレイ法

羊水検査の最新の技術としてマイクロアレイ法があります。マイクロアレイ法は、胎児の染色体全体の過不足を網羅的に調べる方法で、従来のG分染法やFISH法では見つけることが難しかった微細な染色体異常も検出できます。

マイクロアレイ法は高額ですが、染色体異常の有無をより正確に把握したい場合におすすめの検査方法です。ただし、マイクロアレイ法で異常が見つかっても、その意義が不明確な場合があるため、専門医によるカウンセリングが重要となります。

 

NIPT(新型出生前診断)と羊水検査の違い

NIPTと羊水検査はどちらも出生前診断の一種ですが、検査方法や特徴に違いがあります。

 

項目

NIPT

羊水検査

検査方法

母体の血液を採取・分析

羊水を採取・分析

検査週数

妊娠10週以降

妊娠15週以降

検査対象

3種類の染色体異常
(21トリソミー、18トリソミー、13トリソミー)

全染色体の数的・構造的異常

結果判明

1~2週間程度

2~3週間程度

精度

確定診断ではない

確定診断である

流産リスク

なし

0.1~0.3%

 

NIPTは母体血液中の胎児由来のDNAを分析する検査で、身体への負担が少ないのが特徴です。一方、羊水検査は羊水を採取して分析する検査で、より詳細な染色体検査が可能ですが、流産のリスクがあります。妊婦さんの年齢やご家族の意向などを考慮し、主治医とよく相談の上、検査方法を選択することが大切です。

 

NIPT(新型出生前診断)と羊水検査のメリット・デメリット

NIPTと羊水検査にはそれぞれメリットとデメリットがあります。

それぞれのメリット・デメリットをよく理解した上で、どちらの検査を選ぶか慎重に検討することが大切です。

 

NIPT(新型出生前診断)のメリット・デメリット

NIPTには以下のようなメリットとデメリットがあります。

 

メリット

デメリット

  • 母体への負担が少ない
  • 早期に結果がわかる
  • 検査による流産のリスクがない
  • 確定診断ではない
  • 偽陰性・偽陽性の可能性あり
  • 検査可能な染色体異常が限定的

 

NIPTは母体の血液を採取するのみで検査ができ、母体への負担が少ないことが大きなメリットです。また、妊娠10週頃から検査可能で早期に結果が判明します。

 一方で、NIPTはあくまでスクリーニング検査であり、確定診断ではありません。偽陽性・偽陰性の可能性もあるため、陽性の場合は羊水検査などの確定診断が必要となります。また、検査可能な染色体異常は21トリソミーなど一部に限られています。

 

羊水検査のメリット・デメリット

羊水検査のメリットとデメリットは以下の通りです。

 

メリット

デメリット

  • 確定的な診断ができる
  • 染色体異常の有無だけでなく、他の遺伝子異常の有無も調べられる
  • 流産のリスクがある(0.1〜0.5%)
  • 腹部に針を刺すため、母体への負担が大きい
  • 検査結果が出るまで2〜3週間かかる
  • 羊水過少や前期破水などの合併症リスクがある
  • 保険適用外であるため、全額自己負担となる

 

羊水検査の最大のメリットは、診断精度が高く、確定的な診断ができる点です。一方、母体への負担が大きいことや、流産のリスク(0.1〜0.5%程度)があることがデメリットとして挙げられます。

また、検査結果が出るまでに2〜3週間程度の時間を要することや、稀ではありますが羊水過少や前期破水などの合併症を引き起こすリスクがあることにも留意が必要です。さらに、羊水検査の費用はNIPT同様に全額自己負担であり、保険適用外であるという点もデメリットの一つと言えるでしょう。

 

NIPT(新型出生前診断)と代理出産を組み合わせるメリット

NIPTは、母体の血液を採取して胎児の染色体異常の可能性を調べることができます。羊水検査は最悪の場合流産のリスクがありますが、NIPTは母体への負担を少なく、受精卵へのダメージを最小限に抑えられます。

NIPTと代理出産を組み合わせることで、代理母の身体の負担を少なく、より確実に健康な赤ちゃんを授かることができるでしょう。妊娠や出産時のトラブルを少なくすることができるのもメリットです。

 

代理出産については以下の記事でも詳しく解説しています。興味をお持ちの方はぜひご覧ください。

代理出産のメリットとデメリット。出産が困難な夫婦に贈る選択肢と注意点

代理出産の成功率は? 成功率を上げるためのポイント7つ

 

NIPT・羊水検査に関するよくある質問

NIPT・羊水検査に関するよくある質問をまとめました。

 

  • NIPT・羊水検査にかかる費用は?
  • 高齢になるにつれNIPTや羊水検査の的中率は高くなる?
  • 羊水検査と絨毛検査の違いは?
  • 妊娠10週未満でもNIPT・羊水検査は受けられる?
  • NIPT・羊水検査で自閉症はわかる?
  • 羊水検査は痛い?

 

NIPTや羊水検査を受けようか検討されている方は、ぜひ判断材料にしてください。

 

NIPT(新型出生前診断)・羊水検査にかかる費用は?

NIPTや羊水検査にかかる費用は実施する医療機関によっても異なりますが、一般的に、NIPTは8万円から20万円前後、羊水検査は6万円〜20万円前後とされています。NIPTの方が検査費用は高めに設定されており、保険適用外のため自費での支払いが必要です。

一方、羊水検査は一部保険適用となります。 

 

高齢になるにつれNIPTや羊水検査の的中率は高くなる?

NIPTや羊水検査は、胎児の染色体異常などを高い精度で検出できる検査です。しかし、母体の年齢によって検査の的中率に違いが出てくることがわかっています。

一般的に、母体の年齢が高くなるほど、NIPTおよび羊水検査の的中率は高くなります。これは、高齢の母体ほど、胎児の染色体異常リスクが高くなるためです。

 

羊水検査と絨毛検査の違いは?

羊水検査と絨毛検査はともに出生前診断の方法の一つですが、以下のような違いがあります。

 

 

羊水検査

絨毛検査

採取する検体

羊水

胎盤組織

採取時期

妊娠15週以降

妊娠10週以降

検査項目

染色体異常などの遺伝子検査のほか、感染症や代謝異常の検査も可能

染色体異常の検査に特化

リスク

針を腹部に刺して行う検査のため、流産のリスクが0.1~0.3%程度あり

子宮頸部から組織を採取するため、羊水検査に比べると侵襲性が低く、流産のリスクは1%程度

 

このように、羊水検査と絨毛検査は目的や採取方法、リスクなどが異なります。

 

妊娠10週未満でもNIPT・羊水検査は受けられる?

NIPTと羊水検査は、通常妊娠10週以降に受けることができます。しかし、一部の医療機関では、妊娠10週未満の早期でも検査を実施することが可能です。

早期に検査を受けることで、より早期に胎児の状態を把握できるメリットがあります。ただし、検査の精度や安全性については、妊娠週数によって異なります。医療機関と相談しながら、自身に最適な検査方法を選択しましょう。

 

NIPT・羊水検査で自閉症はわかる?

NIPTや羊水検査ではダウン症やその他の染色体異常は検出できますが、自閉症の有無を直接的に判断することはできません。

自閉症は複雑な遺伝的要因と環境要因が関係する疾患であり、現時点では決定的な遺伝子変異は特定されていません。したがって、NIPT や羊水検査では自閉症の有無を直接的に判断できないのです。

ただし、NIPT や羊水検査で染色体の異常が見つかった場合、自閉症のリスクが高くなる可能性があります。そのため、検査結果に応じて、さらなる精密検査や遺伝カウンセリングを受けることをおすすめします。自閉症の早期発見と適切な支援につなげるためです。

 

羊水検査は痛い?

羊水検査は胎児の健康状態を確認する検査ですが、一般的に軽度の痛みを伴います。

検査の際は、まず医師が腹部にエコーを当て、胎児の状態を確認します。次に、医師が腹部の適切な場所から針を刺して羊水を採取します。この針を刺す瞬間に、多くの妊婦が軽い痛みを感じると言われています。

しかし、痛みの程度には個人差があります。エコーの際のゼリーの塗布や麻酔の使用など、医療機関によって痛みを軽減する工夫がなされています。また、呼吸法などのリラックス法を活用することで、痛みを和らげることも可能です。

検査後は、針を刺した部分の軽い痛みや違和感が数日続くことがありますが、重大な合併症の発生率は非常に低いのが特徴です。医師の丁寧な説明と配慮のもと、できる限り痛みの少ない検査を受けることができます。

 

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まとめ

NIPTと羊水検査にはそれぞれメリット・デメリットがあります。NIPTは母体への負担が少なく早期に結果がわかりますが、一部の染色体異常しか検査できません。一方、羊水検査は染色体の詳細な分析が可能ですが、流産のリスクがあります。

高齢妊婦の場合は、両検査を組み合わせることで、より詳細な情報が得られます。NIPTと羊水検査を併せて実施することで、健康な子どもを授かることができる可能性が高まるでしょう。また、不妊にお悩みの方は代理出産や卵子・精子プログラムも検討してみてはいかがでしょうか。

「Baby For You」では手厚いサポート体制、そして法的な保護も整備しており、安心して代理出産を利用することができます。代理出産を検討されている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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