2024-08-21

高度生殖補助医療(ART)とは?治療法の種類などをわかりやすく解説

高度生殖補助医療(ART)とは?治療法の種類などをわかりやすく解説

タイミング法や人工授精といった通常の不妊治療で妊娠が望めず、疾患などの要因によって妊娠が難しい場合に行われるのが「高度生殖補助医療(ART)」です。

この記事では、高度生殖補助医療の主な治療法、治療の流れ、副作用や費用などについて詳しく解説します。

また、不妊治療でお悩みの方にぜひ知っていただきたい「代理出産」という選択肢についても紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

高度生殖補助医療(ART)とは

高度生殖補助医療(ART:Assisted Reproductive Technology)は、一般不妊治療で妊娠に至らない場合に行われる、より高度で専門的な治療法です。主に体外受精と胚移植からなり、精子と卵子を体外で受精させ、受精卵を子宮内に戻すことで妊娠を目指します。

 

一般不妊治療との違いや適応となる範囲など、詳しい情報を以下から解説します。

一般不妊治療との違い

一般不妊治療は自然妊娠に近い方法で行われますが、高度生殖補助医療は体外で精子と卵子を受精させ、胚を子宮内に戻す医療技術を用いた治療法です。

一般不妊治療と高度生殖補助医療の主な違いは以下の通りです。

項目

一般不妊治療

高度生殖補助医療

タイミング法

人工授精

排卵誘発

体外受精

顕微授精

一般不妊治療で妊娠の可能性が低い場合や、精子や卵子に関わる疾患がある場合などに、高度生殖補助医療が検討されます。高度生殖補助医療は、一般不妊治療よりも妊娠率が高いとされています。

高度生殖補助医療の適応範囲

以下のようなケースでは、高度生殖補助医療(ART)が適応となります。

  • 女性側

卵管性不妊・子宮内膜症・高年齢による卵子の数、質の低下など


  • 男性側

乏精子症や無精子症・精子無力症・精路閉塞など

 

その他、抗精子抗体や受精障害と診断され通常の不妊治療では難しいと判断された場合にも適応となります。

高度生殖補助医療|治療法の種類

それでは、高度生殖補助医療の治療法の種類を見ていきましょう。

 

  • 体外受精(IVF-ET)
  • 胚凍結・融解胚移植
  • 補助孵化療法
  • その他の治療法(SEET法、ST法など)

 

それぞれの方法について、詳しく解説します。

体外受精(IVF-ET)

体外受精とは、卵巣から卵子を取り出し、精子と受精させ、受精卵を子宮に戻す一連のプロセスを指します。

高度生殖補助医療における体外受精は、「媒精(Conventional-IVF)」と「顕微授精(ICSI-IVF)」の2パターンがあります。

媒精(Conventional-IVF)

媒精とは、精子と卵子を受精させる従来の体外受精法です。以下のような手順で行われます。

  1. 培養液の入ったシャーレの中で、採取した卵子に精子をふりかける
  2. 精子は自力で卵子に向かって泳ぎ、受精が起こる
  3. 受精卵を子宮内に戻し、着床・妊娠へとつながる

媒精は自然に近い形で受精を図れますが、精子の状態が良好でないと受精率が低くなるデメリットがあります。

媒精の方法で体外受精をするためには、「精子の数や運動率が基準を満たしている」「抗精子抗体が陰性である」といった条件が揃わなくてはなりません。媒精が難しい場合は、顕微授精(ICSI-IVF)を検討することになります。

顕微授精(ICSI-IVF)

顕微授精は、体外受精の一種で、精子が卵子に侵入できない、あるいは精子の数が非常に少ない重度の男性不妊の場合に用いられます。以下のような手順で行われます。

  1. 精子を注射器で吸引する
  2. 卵子に精子を直接注入する
  3. 受精卵の培養・発生確認後、良好胚を子宮に移植する

顕微授精は、従来の体外受精で妊娠に至らなかったカップルにとって、新たな選択肢となる治療法です。

胚凍結・融解胚移植

胚凍結・融解胚移植は、体外受精で得られた余剰胚を凍結保存しておき、後日融解して子宮内に戻す治療法です。胚の凍結保存により、以下のようなメリットがあります。

 

  • 採卵のたびに全胚を移植する必要がなくなる
  • 妊娠に至らなかった場合、次周期以降に融解胚移植を実施できる
  • 過剰な卵巣刺激を防げ、女性の身体的負担を軽減できる

 

胚の凍結保存・融解には、ガラス化凍結法とプログラムフリーザー法の2種類があります。

ガラス化凍結法は、超急速凍結のため、胚へのダメージが少ない方法です。一方プログラムフリーザー法は、電力のみを用いる専用装置で段階的に冷却し、安定した凍結が可能です。

近年は、これらの凍結法の普及により、融解胚の生存率が飛躍的に向上しています。

補助孵化療法

胚凍結・融解胚移植を受ける女性が35歳以上の高齢であったり、なかなか着床をしなかったりといった場合には、補助孵化療法という治療法が行われます。

補助孵化療法は、胚の外側にある透明帯と呼ばれる膜に小さな穴を開けることで、胚盤胞の子宮内膜への着床をサポートする方法です。

補助孵化療法を行うことで、胚盤胞が子宮内膜に着床しやすくなり、妊娠率の向上が期待できます。ただし、一方で多胎妊娠のリスクも高まるため、適応については慎重に検討する必要があります。

その他の治療法

高度生殖補助医療には、体外受精や顕微授精以外にも、いくつかの治療法があります。

  • SEET法(Sequential Embryo/Endometrium Transfer)
      • 胚盤胞まで培養した複数の良好胚を2回に分けて移植する方法です。
      • 胚の着床環境を整えることで、着床率アップが期待できます。
  • ST法(Stimulated Cycle Therapy)
    • 排卵誘発剤を用いて、自然周期に近い状態で採卵・胚移植を行う方法です。
    • 体への負担が少なく、薬剤費が抑えられるメリットがあります。

 

高度生殖補助医療は、これらの治療法を組み合わせて、最適なプロセスを提案し実施されます。

高度生殖補助医療の治療の流れ

ここまでは、高度生殖補助医療の主な治療法を紹介しました。それでは、実際の治療の流れを見ていきましょう。

高度生殖補助医療は、以下のような流れで進行します。

 

  1. 卵胞期管理〜採卵
  2. 採精〜体外受精
  3. 培養〜移植

 

各ステップについて、詳しく解説します。

1.卵胞期管理〜採卵

高度生殖補助医療の治療の流れの第一段階は、卵胞期管理と採卵です。

女性は皮下注射によって排卵誘発剤の投与を行い、超音波検査で卵胞発育のモニタリングを実施します。併せて血液検査で血中ホルモン値(E2, LH)の測定も行います。

排卵のタイミングで、経膣超音波によるガイドをしつつ卵巣から卵子を吸引し、採卵します。採卵時は極細針や麻酔を使い、痛みを軽減することが可能です。採卵の所要時間は数分で、女性の負担を軽くする工夫が施されています。

2.採精〜体外受精

採卵後は、男性の採精を行います。または、凍結した精子がある場合はそちらを融解して使用するケースもあります。

採卵・採精が完了したら、媒精または顕微受精による体外受精を行います。

3.培養〜移植

受精卵の培養期間は、通常は胚盤胞(5日目)まで行います。培養液には、母体の子宮内環境に近い組成のものを使用し、温度・湿度・CO2濃度などを一定に保ちます。良好な胚の発育が見られた場合、子宮内膜の状態を見計らって胚移植のタイミングを決定します。

胚移植の手順は以下の通りです。

  1. 超音波ガイドを行いつつ、細いカテーテルを子宮頸管から子宮腔内へ挿入
  2. 顕微鏡下で良好な胚を確認し、カテーテルに吸引
  3. カテーテルを通して、胚を子宮腔内へ注入

移植する胚の数は、年齢や胚の状態、過去の治療経過などを考慮して決定します。

移植後は安静にし、約2週間後に妊娠判定を行います。判定結果によっては、上記1〜3のサイクルを繰り返します。

高度生殖補助医療のリスクと副作用

高度生殖補助医療についてリサーチした際に、合併症や副作用に関する情報を多く目にしてしまい、治療に踏み切れなくなってしまう方もいるかもしれません。

確かに、高度生殖補助医療にはリスクがありますが、必要以上に恐怖を感じることはありません。実際のリスクと副作用を正しく理解し、治療を行う医院ときちんと連携をとることでトラブルを未然に回避することができます。

事前に知っておきたい高度生殖補助医療のリスクと副作用について、以下から詳しく解説します。

治療に伴うリスク

高度生殖補助医療には、以下のようなリスクが伴います。

  • 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

排卵誘発剤の使用により卵巣が過剰に刺激され、腹部膨満感や嘔吐などの症状が現れます。重症化すると血栓症につながる可能性もあるため、注意が必要です。


  • 多胎妊娠

体外受精では、複数の受精卵を子宮に戻すため、双子以上の多胎妊娠のリスクが高くなります。早産や低出生体重児のリスクも高まります。


  • 子宮外妊娠

受精卵が子宮以外で着床してしまう子宮外妊娠のリスクがあります。放置すると生命の危険にもつながるため、早期発見・治療が大切です。

 

これらのリスクに対しては、発生確率を軽減するための予防策がとられています。医院は母体と胎児の安全を第一に考えているため、不安なことがあったらすぐに相談しましょう。

副作用への対処法

高度生殖補助医療では、ホルモン療法によって「腹部膨満感・卵巣腫大」「頭痛・眩暈」「吐き気・嘔吐」といった副作用が起こることがあります。

これらの副作用に対して、医院では鎮痛剤の処方などによる対処法を行います。先述した卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が疑われる場合は、入院治療なども検討されます。

高度生殖補助医療にかかる費用

2022年4月から、不妊治療にかかる医療費が保険適用となりました。高度生殖補助医療の一連の流れも、保険適用内となります。

これによって、高度生殖補助医療にかかる費用の目安は以下の通りになります。

 

  • 【自費診療】体外受精・採卵・移植 …約70万円
  • 【保険適用】体外受精・採卵・移植 …約20万円

 

ただし上記はあくまで目安であり、治療法の変更などによって大きく変動します。

また、1回のサイクルで着床しなかった場合は、複数回サイクルを繰り返すことになり、その分費用がかさんでしまいます。

高度生殖補助医療を受ける際の注意点

高度生殖補助医療を受ける際には、治療に対する正しい理解とパートナーとのコミュニケーションが重要になります。

治療法に関して不安な点や不明点があったら、迷わずに担当医に相談しましょう。

また、複数回のサイクルを繰り返す可能性があることも理解しておきましょう。なかなか妊娠判定が出ない場合は、他の方法を検討する判断も大切です。

より成功率を高める選択肢として、高度生殖補助医療によって作られた受精卵(胚)を代理母に移植する「代理出産」を行う方法が挙げられます。

高度生殖補助医療と代理出産を組み合わせることで、妊娠成功率が飛躍的に向上します。

不妊治療に「代理出産」という選択肢

代理出産とは、妻の卵子と夫の精子を体外受精させた受精卵を代理母の子宮に移植し、妊娠・出産してもらう方法です。また、若く健康なドナーの卵子と夫の精子を体外受精させ、代理母に移植して出産を行うことも可能です。

高齢出産による母体の健康リスクが高い場合や、高度生殖補助医療を何サイクルか繰り返してもなかなか妊娠できないといった場合に、大きな希望となる選択肢でしょう。

ただし日本では、代理出産を規制する法律はないものの、日本産科婦人科学会が代理懐胎を禁止しているため、国内の医療機関で代理出産を行うことはできません。そのため、商業的代理出産が認められている国に渡航し、代理出産を行う形になります。

海外での代理出産は、信頼できるエージェントを介して安全に行うことができます。

 

海外での代理出産をサポートするエージェントについては、以下の記事で詳しく解説しています。

代理出産エージェントとは?選び方から費用・事例まで詳しく解説

「Baby For You」の代理出産プログラム

海外での代理出産を安心してお任せできる仲介業者をお探しなら、ぜひ「Baby For You」にご相談ください。

Baby For Youでは、これまでに多くの日本人ご夫婦へ赤ちゃんをお届けしてきました。会社組織として海外の医療機関と信頼関係を築き、弁護士も在籍している、実績のある代理出産エージェントです。

代理出産プログラムのほか、卵子提供プログラム、精子提供プログラム、着床前診断・男女産み分けプログラムを提供しています。

Baby For Youは主にウクライナ、ジョージア、カザフスタンの医療機関と提携し、安心・安全な代理出産を行っています。

厳しい審査による健康な代理母の選定や、海外現地でのサポート、日本国籍を取得するための手続きなど、さまざまな面から依頼者さまをサポートいたします。

まとめ

高度生殖補助医療は、子どもを望む夫婦に対して、高度な医療技術を用いて行われる不妊治療です。治療にはリスクや副作用、費用、そして精神的な負担も伴います。治療を受ける前に、十分に情報収集を行い、自分たちに合った治療法を選択することが大切です。

また、治療中は、医療機関のサポートを受けながら、夫婦で協力して乗り越えていくことが重要です。

妊娠・出産にリスクがある高齢出産や、着床が難しいといった状況では、エージェントを介して海外で代理出産をすることで成功率を上げることができます。

不妊治療でお悩みの方、代理出産について詳しく知りたい方は、ぜひ「Baby For You」にご相談ください。

 

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