2024-08-22
体外受精(IVF)とは?治療の流れ・費用・期間をわかりやすく解説
不妊に悩む夫婦にとって、体外受精(IVF)は大きな希望となる治療法です。しかし、体外受精の治療の流れや費用、リスクなどについて十分な情報を得ることは容易ではありません。
そこで本記事では、体外受精が適用される条件や治療の流れ、気になる期間や費用のことまで詳しく解説します。
また、安全な妊娠・出産の成功率を高める方法として「体外受精+代理出産」という選択肢についても紹介いたします。
体外受精(IVF)とは
体外受精(IVF: In Vitro Fertilization)は不妊治療の一種で、体外で卵子と精子を受精させ、受精卵を子宮に戻す医療技術のことを指します。
体外受精は1978年にイギリスの産婦人科医ステプトー博士と研究者エドワード博士によって確立されました。世界で初めて体外受精によって生まれたルイーズさんは健康に育ち、現在40代を迎えています。近年では不妊治療の方法として一般化し、多くの夫婦が体外受精によって我が子を授かっています。
2021年の統計ですが、日本では年間6万9797人が体外受精によって生まれています。総出生数に対して、11.6人中1人が体外受精で生まれている計算になります。
医療の進歩によって、今後ますます体外受精は身近な治療法となるでしょう。
参考:朝日新聞デジタル_2021年の体外受精児、過去最多の約7万人 治療のピークは39歳
体外受精が適用される不妊の原因
不妊治療は、まず「タイミング法」や「人工授精」といった一般不妊治療が検討されます。
しかし、何らかの原因で一般不妊治療での妊娠が難しいと判断された場合に、高度生殖補助医療(ART)である体外受精が実施されます。
体外受精が適用される不妊の原因として、以下が挙げられます。
- 卵管性不妊
- 男性不妊症
- 免疫性不妊
- 原因不明の不妊症
それぞれの原因について、詳しく見ていきましょう。
また体外受精を含む高度生殖補助医療(ART)については、以下の記事で詳しく解説しています。
『高度生殖補助医療(ART)とは?治療法の種類などをわかりやすく解説』
卵管性不妊
卵管性不妊は、体外受精(IVF)が適用される代表的な不妊の原因の一つです。卵管に何らかの問題があり、受精卵が子宮まで到達できないことで、妊娠が成立しにくくなります。卵管性不妊の主な原因は以下の通りです。
- 卵管の癒着や閉塞
- 卵管の損傷や切除
- 子宮内膜症などによる卵管周囲の癒着
- 卵管采の機能不全
このような卵管の異常により、精子と卵子が出会えない、受精卵が卵管内を移動できない、受精卵が子宮内膜に着床できないといった問題が生じ、妊娠が困難になります。卵管性不妊に対しては、体外受精が有効な治療法となります。体外受精では、卵管の状態に関わらず、体外で受精を行い、良好な胚を子宮内に戻すことが可能です。
男性不妊症
男性不妊症は、精子の数や質に問題がある状態を指します。主な原因は以下の通りです。
- 精巣における精子形成の障害
- 精路の閉塞や欠損などの解剖学的異常
- 性機能障害(勃起不全、射精障害など)
- 内分泌異常(男性ホルモンの分泌異常)
男性不妊症の場合、精子の運動率が低い、奇形精子が多い、無精子症などの状態が見られます。このような場合、自然妊娠が難しいケースが多いため、体外受精が有効な治療選択肢となります。
体外受精では、運動精子を選別して卵子に受精させるため、精子の質が低下していても妊娠の可能性が高まります。重度の男性不妊の場合は顕微授精という手法で、直接精子を卵子に注入することで受精を助けます。
免疫性不妊
免疫性不妊は、体内で作られた抗体が原因で受精や着床が阻害されることを指します。主に以下のようなケースが考えられます。
- 女性の体内で精子に対する抗体が作られ、精子が卵子に到達できない
- 受精卵に対する抗体が作られ、着床が阻害される
- 胚や胎児に対する抗体が作られ、流産のリスクが高まる
免疫性不妊と診断された場合、ステロイド剤や抗凝固剤の投与、また体外受精などの生殖補助医療が検討されます。体外受精では、体内の抗体の影響を受けずに受精や着床が可能となるため、免疫性不妊の治療に有効とされています。
原因不明の不妊症
原因不明の不妊症とは、一般的な不妊検査を行っても明確な原因が特定できない場合を指します。具体的には以下のような状況が考えられます。
女性側の検査で、
- 基礎体温が二相性である
- 卵管造影検査で異常がない
- 子宮内膜や子宮筋腫などに問題がない
男性側の検査で、
- 精液検査の結果が正常範囲内である
このように一通りの検査を実施しても、妊娠に至らない場合は原因不明の不妊症と診断されます。 原因が特定できない場合でも、体外受精は有効な治療選択肢の一つです。体外受精では受精卵を直接子宮内に戻すため、受精や着床の確率を高めることができるからです。原因不明の不妊症に対しても、体外受精は妊娠・出産の可能性を広げる有用な治療法といえるでしょう。
体外受精の治療の流れ
体外受精の治療は、主に以下のような流れで進行します。
- 治療開始前の検査
- 排卵誘発
- 採卵
- 精子の採取と処理
- 体外での受精
- 胚培養〜胚移植
- 妊娠判定
各ステップで実施される治療法について、詳しく見ていきましょう。
1.治療開始前の検査
体外受精を始める前に、医師はさまざまな検査を行い、体外受精が適切かどうかを判断します。主な検査項目は以下の通りです。
- 女性の検査
基礎体温表の記録
血液検査(ホルモン値の測定)
子宮や卵巣の超音波検査
子宮卵管造影検査
- 男性の検査
精液検査(精子の数・運動率・奇形率などを評価)
これらの検査結果をもとに、医師は体外受精の適応を判断し、夫婦に合わせた治療計画を立てます。検査結果によっては、体外受精以外の治療法が提案されることもあります。
2.排卵誘発
体外受精を行う際、まず排卵誘発を行います。排卵誘発とは、注射によるホルモン投与で卵巣を刺激し、複数の卵子を育てる治療のことです。
排卵誘発は、まず月経開始2〜5日目頃から排卵誘発剤の投与を開始し、5〜7日ごとに超音波検査で卵胞の成長をモニタリングします。順調に卵胞が成長したら、最終成熟を誘発する注射の投与後、35〜36時間後に採卵を行います。
3.採卵
体外受精の治療過程において、採卵は非常に重要なステップです。採卵は、以下のような流れで行われます。
- 患者に麻酔をかけ、超音波ガイド下で経膣的に卵巣に針を刺す
- 卵胞液を吸引して卵子を取り出す
- 顕微鏡下で卵子を確認し、成熟した卵子を選別する
採卵後は、卵子を特殊な培養液で保存し、精子との受精に備えます。採卵によって得られた卵子の数や質が体外受精の成否を大きく左右するため、慎重に行われます。
4.精子の採取と処理
体外受精では、採卵と同時に男性パートナーから精子を採取します。
採取した精液から、運動性の高い精子を選別する処理を行います。この処理により、受精能力の高い良質な精子を体外受精に用いることが可能です。
なお、重度の男性不妊の場合は、TESE法を用いて外科的に精巣から直接精子を回収することで、体外受精を行えます。
5.体外での受精
卵子と精子の採取と処理が完了したら、いよいよ体外受精です。
体外受精は、シャーレの中の卵子に精子をふりかけて自然に受精するのを待つ「媒精」という方法と、一つの精子を顕微鏡下で卵子に直接注入して受精させる「顕微授精」の2パターンがあります。媒精では受精が難しい場合に、顕微授精が行われます。
受精卵は培養液の入ったシャーレの中で発育を続け、胚の状態を確認しながら子宮内へ移植する時期を決定します。
6.胚培養〜胚移植
体外受精による受精卵が得られると、その後は体外で培養を行います。通常、胚盤胞までの培養を行い、良好な胚を子宮内へ移植します。
良好な胚が複数採取できた場合は、今後の不妊治療のために凍結して保存することも可能です。子宮内膜の状態を確認し、ベストなタイミングで移植が行われます。
胚移植は、細いカテーテルを通して行われ、女性が痛みを感じないよう配慮が施されています。
7.妊娠判定
胚移植から約2週間後、妊娠の有無を判定します。妊娠判定は主に血液内のhCGホルモン値を測定する方法で行われます。
hCG検査で陽性となったら、妊娠の可能性が高いと判断されます。
実際に妊娠が確認できた場合は、産婦人科での定期的な妊婦健診を受けることになります。一方、妊娠が成立しなかった場合は、次周期以降の治療方針を医師と相談し、再度体外受精のサイクルを繰り返す形になります。
体外受精にかかる期間
1回の体外受精治療サイクルでは、およそ1〜2ヶ月の期間を要します。各ステップにかかる期間は以下の通りです。
- 治療開始前の検査 …1〜2周期(1〜2ヶ月)
- 排卵誘発 …約2週間
- 採卵、受精、胚培養、胚移植 …約1週間
- 妊娠判定 …胚移植の約2週間後
ただし、治療の経過によっては、途中で治療を中止したり、次の周期までの間隔が空いたりする場合もあります。
体外受精にかかる費用
2022年4月から、不妊治療にかかる医療費が保険適用となりました。高度生殖補助医療となる体外受精の一連の流れも、保険適用内となります。
これによって、体外受精にかかる費用の目安は以下の通りになります。
- 【自費診療】体外受精・採卵・移植 …約70万円
- 【保険適用】体外受精・採卵・移植 …約20万円
ただし上記はあくまで目安であり、治療法の変更などによって大きく変動します。
また、1回のサイクルで着床しなかった場合は、複数回サイクルを繰り返すことになり、その分費用がかさんでしまいます。
体外受精の成功率
体外受精(IVF)による1回の胚移植に対する妊娠率を成功率とすると、その数値は年齢によって大きく異なります。公益社団法人日本産科婦人科学会の「2020年ARTデータブック」の調査結果では、26歳で48.0%、37歳では40%以下となり、40歳になると30%を切ることがわかっています。
また、体外受精を実施する医療機関の技術力や実績によっても成功率は異なるため、治療を受ける際は各クリニックの実績を確認することが大切です。
体外受精のリスクと副作用
体外受精は高度な医療技術を用いた治療法ですが、いくつかのリスクや副作用も伴います。
例えば、排卵誘発剤を投与することで卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が発生する可能性があり、万が一発症すると卵巣が腫れてしまいます。また、胚移植では複数の受精卵を子宮に戻すため、双子以上の多胎妊娠となるリスクがあります。
これらのリスクや副作用に関しては医師が十分理解しており、発生を抑制できるよう対策を講じています。そのため、過度に恐怖を感じたり不安を抱く必要はありません。
ただし、高年齢による出産では着床率が極端に低くなり、出産時の母体への負担も多くなります。そこで、妊娠・出産成功率を飛躍的に向上させるため「体外受精+代理出産」という方法をご提案します。
不妊治療の選択肢として「体外受精+代理出産」の提案
「代理出産」とは、体外受精で得られた受精卵を、別の女性(代理母)の子宮に移植し妊娠・出産を行う方法です。万が一、妻の卵子の質や数が低減してしまっている場合は、若く健康なドナーによる卵子と夫の精子を受精させて代理母に移植する方法でさらに成功率を高めることもできます。
ただし、代理出産は日本国内での実施が不可能となっています。法規制はないものの、日本産科婦人科学会が代理懐胎を禁止しているため、国内の医療機関で代理出産を行うことはできません。そのため、商業的代理出産が認められており法整備がされている国に渡航して代理出産を行うことになります。
海外の医療機関との連携は困難かつ複雑です。そこで、多くの日本人夫婦がエージェントによる仲介で海外の代理出産を成功させています。
エージェントの活用
海外での代理出産は、現地の医療機関および代理母と信頼関係を築いているエージェント(仲介会社)を活用することで、安全に実施できます。
エージェントが提供するサービスには以下のようなものがあります。
- 代理母候補者の選定と契約の代行
- 代理母の心身の健康状態を管理・報告
- 現地医療機関の選定と予約の代行
- 依頼主ご夫婦の渡航時の現地生活のサポート
- 赤ちゃんの法的な手続きの代行と出国のための書類作成サポート
もちろん、エージェントは体外受精といった高度な不妊治療を行える実績がある医院をご紹介します。国外で体外受精を行うため、日本国内では実施できない卵子ドナーや男女の産み分けといった方法も選べる点が大きなメリットです。
海外での代理出産をサポートするエージェントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
『代理出産エージェントとは?選び方から費用・事例まで詳しく解説』
「Baby For You」の代理出産プログラム
海外での代理出産を安心してお任せできる仲介業者をお探しなら、ぜひ「Baby For You」にご相談ください。
Baby For Youでは、これまでに多くの日本人ご夫婦へ赤ちゃんをお届けしてきました。会社組織として海外の医療機関と信頼関係を築き、弁護士も在籍している、実績のある代理出産エージェントです。
代理出産プログラムのほか、卵子提供プログラム、精子提供プログラム、着床前診断・男女産み分けプログラムを提供しています。
Baby For Youは主にウクライナ、ジョージア、カザフスタンの医療機関と提携し、安心・安全な代理出産を行っています。
厳しい審査による健康な代理母の選定や、海外現地でのサポート、日本国籍を取得するための手続きなど、さまざまな面から依頼者さまをサポートいたします。
まとめ
体外受精は高度生殖医療の一つであり、不妊の原因や疾患の種類などが一定の条件を満たした場合に選択できる治療法です。治療期間は個人差がありますが、1周期あたり約1ヶ月程度です。
保険適用となったため費用負担は低減されますが、なかなか着床ができない場合は体外受精サイクルを繰り返すことになり、体力的・金銭的負担が大きくなるでしょう。より確実な妊娠・出産に繋げるには、「体外受精+代理出産」の組み合わせが非常に効果的です。
経験豊富なエージェントに依頼をすることで、安全な代理出産が可能となります。海外での代理出産をご検討の際は、ぜひBaby For Youにご相談ください。
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