2024-08-23
体外受精の流れと4つの方法を徹底解説!気になる費用や注意点も紹介
不妊治療の方法として、体外受精は重要な役割を果たしています。体外受精とは、体外で受精させた受精卵を子宮内に戻すことで妊娠を目指す治療法です。
体外受精はさらにいくつかの方法に分けられ、不妊治療を行うご夫婦に合わせて最適な手段が提案されます。
この記事では、体外受精の方法やメリット・デメリットについて詳しく解説します。
体外受精の方法4種類
体外受精とよく似た言葉で「人工授精」がありますが、この二つは方法が異なります。
人工授精は、排卵の周期に合わせて、カテーテルを用いて精子を子宮内に注入する方法です。体内で受精が行われるため、自然妊娠にかなり近い形であると言えます。
体外受精は、受精そのものを体外で実施します。主な方法として、以下の4つが挙げられます。
- 体外受精(IVF)
- 顕微授精(ICSI)
- レスキューICSI
- スプリット法
それぞれの方法について、詳しくみていきましょう。
体外受精(IVF)
体外受精(IVF: In Vitro Fertilization)は、体外受精の基本的な方法です。以下のステップで行われます。
- 排卵誘発剤を使用し、複数の卵子を育成
- 成熟した卵子を卵巣から採取
- 精子と卵子を受精培地の入ったシャーレの中で受精させる
- 受精卵を子宮内に戻す
上記の方法は「媒精」と呼ばれ、体外受精の基本となる方法です。
精子の運動量が少ないなどの要因によって媒精が難しい場合、卵子に精子を直接注入する「顕微授精」が行われます。
顕微授精(ICSI)
精子を吸引用ピペットで吸引し、顕微鏡下で細い針を用いて卵子に直接注入する体外受精の方法を顕微授精(ICSI: Intracytoplasmic Sperm Injection)と言います。
注入する精子は良好なものを選別できるため、男性不妊のケースでも受精が可能となります。ただし、卵子に対する侵襲が大きいため、卵子の質が低下している場合は成功率が低下します。また、一般的な体外受精(媒精)よりも医療費がやや高額です。
体外受精と顕微授精は、組み合わせることで受精の成功率を上げることができます。組み合わせる方法として「レスキューICSI」と「スプリット法」を紹介します。
レスキューICSI
レスキューICSIは、従来の体外受精で受精しなかった卵子に対して、翌日に顕微授精(ICSI)を行う方法です。
レスキューICSIの手順は以下の通りです。
- 採卵後、卵子を体外で精子と受精させる(IVF)
- 翌日、受精の有無を確認
- 未受精の卵子に顕微鏡下で精子を注入(ICSI)
- 再度、受精の有無を確認し、受精卵を子宮に戻す
IVFで受精しなかった卵子でも、ICSIによって受精が期待できるため、貴重な卵子を無駄にすることなく受精卵を得られるメリットがあります。
スプリット法
スプリット法は、体外受精と顕微授精を同時に実施する方法です。以下のような手順で行われます。
- 採卵した卵子を半分に分ける
- 半分は体外受精、残りの半分は顕微授精を実施
- 受精卵の様子を観察し、良好胚を選別
- 良好胚を子宮に戻す
スプリット法のメリットは、良好胚が得られやすいことと、体調などによる精子の状態に左右されにくいという点です。
一方で、費用が割高になるというデメリットもあります。医師とよく相談して、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
胚移植の方法
体外受精によって培養器の中で成長させた受精卵を子宮内に戻すことを「胚移植」と言います。
受精卵は体外で数日間培養され、胚(はい)と呼ばれる状態にまで発育します。
胚移植の際は、胚の質や女性の年齢、過去の治療成績などを考慮して、移植する胚の選定が行われます。選ばれた胚は、細いカテーテルを使って子宮内に移植されます。
多胎妊娠のリスクを避けるため、移植する胚の数は慎重に検討されます。
胚移植のタイミングと本数
体外受精で作成した胚は、受精卵の状態から数日培養します。胚盤胞まで発育したら子宮内へ移植するタイミングです。移植のタイミングと移植する胚の数は、以下の表のように分類されます。
移植タイミング |
受精後日数 |
胚の状態 |
初期胚移植 |
2〜3日目 |
4〜8細胞期 |
胚盤胞移植 |
5〜6日目 |
胚盤胞 |
移植する胚の数は、一般的には以下の方針で決定します。
- 35歳未満:単一胚移植が推奨される
- 35歳以上:2個程度の複数個移植が検討される
ただし、実際の判断は胚の状態や子宮内膜の状態、患者の希望などを考慮して個別に行われます。
移植する胚の数が多いほど多胎妊娠のリスクは高くなりますが、妊娠率も向上します。
単一胚移植を繰り返すことで、累積妊娠率を高めつつ多胎を回避するのが理想的です。
体外受精が必要とされるケース
体外受精は、主に以下のようなケースで必要とされます。
- 卵管に障害がある
卵管が閉塞している
卵管周囲の癒着がある
- 精子の数や質に問題がある
無精子症や乏精子症などの男性不妊
精子無力症などの精子機能不全
- 免疫的な不妊がある
抗精子抗体などによる免疫性不妊
- 原因不明の不妊
一般不妊治療を行っても妊娠に至らない
こうしたさまざまな不妊の原因に対し、体外受精は有効な治療の選択肢となります。
精子と卵子を体外で受精させ、受精卵を子宮内に戻すことで、自然妊娠が難しいカップルの妊娠・出産の可能性を高めることができるのです。
体外受精の基本的な流れ
体外受精の流れは以下のようになります。
- 卵巣刺激:注射で卵胞の発育を促進
- 採卵:成熟した卵子を体外に取り出す
- 採精:夫の精子を採取
- 受精:体外で卵子に精子を受精させる
- 培養:受精卵を数日間培養し、胚盤胞まで発育
- 胚移植:子宮内に胚を戻す
- 妊娠判定:判定までの期間は黄体ホルモン剤を投与
上記の体外受精の一連の流れは、1サイクルにつき約1〜2ヶ月かかります。
体外受精の流れに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
『体外受精(IVF)とは?治療の流れ・費用・期間をわかりやすく解説』
体外受精のメリット
体外受精は不妊治療の選択肢の一つとして、メリットの多い治療方法です。
まず、妊娠の可能性が高まるというメリットが挙げられます。体外受精では精子と卵子を体外で受精させるため、自然妊娠よりも妊娠の可能性が高くなります。周期あたりでは、タイミング法の約8倍、人工授精の約4倍妊娠率が高くなると言われています。
また、精子の運動率が低い、卵子の質が低下しているなど、精子や卵子に問題がある場合でも、体外受精によって妊娠の可能性が高まります。
体外受精では受精卵の状態を顕微鏡で確認できるため、良質な胚を子宮に戻すことができます。これにより、流産のリスクを減らせる可能性がある点も大きなメリットでしょう。
体外受精のデメリット
一方で、体外受精にはデメリットもあります。
体外受精による不妊治療は期間が長くなる傾向があり、ホルモン注射による卵子の育成や採卵のタイミング合わせなどに時間を要します。また、移植のタイミングを逃すと次周期までの待機期間が発生してしまいます。
加えて、女性の身体的負担が大きいのも課題です。ホルモン注射の副作用として頭痛や吐き気などが起こりうるほか、体質によっては採卵の際の身体的苦痛も伴います。 しかし、これらの身体的負担に対しては局所麻酔の利用や鎮痛剤の処方といった対策が講じられているため、不安なことがある場合は担当医に相談しましょう。
体外受精の成功率と影響因子
自然樹勢と比べて体外受精の妊娠の成功率は非常に高くなりますが、必ずしも1回の体外受精で妊娠できるとは限りません。
体外受精の成功率には、さまざまな要素が影響します。結果によっては体外受精以外の妊娠・出産方法を検討しなくてはならない場合もあるのです。
体外受精の成功率とその影響について、詳しく解説します。
年齢別の成功率
体外受精の成功率は、女性の年齢によって大きく異なります。
年齢 |
妊娠率 |
34歳以下 |
41.2% |
35~39歳 |
31.9% |
40~44歳 |
16.2% |
45歳以上 |
4.0% |
引用元:公益社団法人日本産科婦人科学会_2020年ARTデータブック
年齢が上がるほど、体外受精での妊娠率は下がる傾向にあります。40歳を超えると成功率が大きく低下するのが特徴です。
その理由として、以下の点が挙げられます。
- 加齢に伴う卵子の質の低下
- 卵巣機能の衰え
- 子宮内膜の状態の変化
高齢になるほど、良質な卵子を得ることが難しくなり、受精卵が着床しづらい子宮内環境になります。そのため、年齢は体外受精の成功を左右する大きな要因の一つと言えるでしょう。
妊娠に至るまでの回数
30歳未満や30〜34歳の比較的若い年齢層では、平均3周期程度で妊娠に至ることが多いです。一方、35歳以上になると妊娠に必要な採卵周期数が増加傾向にあります。40歳以上では、平均して7周期近く体外受精を繰り返す必要があるケースもあるでしょう。
ただし、これはあくまで平均値であり、個人差が大きいことにも留意が必要です。年齢に関わらず1回の体外受精で妊娠に至るケースもあれば、若くても何度も体外受精を繰り返さなければならない場合もあります。
成功率に影響する要因
体外受精の成功率に影響を及ぼす主な要因は、女性の年齢だけではありません。
男性の精子の状態や、喫煙などの生活習慣、肥満などの体質も成功率に影響を与える可能性があります。
体外受精を繰り返してもなかなか妊娠に至らないという場合は、代理出産という方法を検討することもできます。実際に、日本人夫婦がエージェントのサポートを介して海外で代理出産を行った事例も多くあります。
代理出産について詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事をご覧ください。
『代理出産とは?日本で禁止の理由や成功事例、費用までわかりやすく解説』
体外受精にかかる費用
2022年4月から、不妊治療にかかる医療費が保険適用となりました。高度生殖補助医療となる体外受精の一連の流れも、保険適用内となります。
これによって、体外受精にかかる費用の目安は以下の通りになります。
【自費診療】体外受精・採卵・移植 …約70万円
【保険適用】体外受精・採卵・移植 …約20万円
ただし上記はあくまで目安であり、治療法の変更などによって大きく変動します。
また、1回のサイクルで着床しなかった場合は、複数回サイクルを繰り返すことになり、その分費用がかさんでしまいます。
保険適用となる範囲
保険適用となる不妊治療には範囲が定められており、以下のような一定の条件があります。
- 初回治療開始時の妻の年齢が43歳未満である
- 医学的な理由により体外受精以外の治療法では妊娠の見込みがない、または極めて少ないと医師に診断された
- 治療開始時に、出生児数が40歳未満の場合は通算1子まで、40歳以上43歳未満の場合は通算2子までである
また、治療開始時の女性の年齢は、保険適用で受けられる不妊治療の回数制限にも関わる要素となるため、注意しましょう。
年齢ごとの回数上限は、以下の通りです。
治療開始時の女性の年齢 |
不妊治療の回数上限 |
40歳未満 |
通算6回まで(1子ごと) |
40歳以上43歳未満 |
通算3回まで(1子ごと) |
体外受精の注意点とリスク
体外受精を検討する際は、以下のような注意点やリスクについても理解しておく必要があります。
- 多胎妊娠
一度に複数の受精卵を移植するため、双子以上の多胎妊娠となるリスクが高まります。
- 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)
排卵誘発剤の使用により、卵巣が過剰に刺激されてしまう症状で、重症化すると入院が必要なこともあります。
- 精神的・肉体的負担
治療のために通院を繰り返すことによる時間的拘束や、ホルモン剤の副作用などから精神的・肉体的な負担が大きくなります。
これらのリスクを鑑みて、卵子ドナーによる体外受精を検討する場合もあるかもしれませんが、日本国内では夫婦以外の男女の体外受精は実質不可能となっています。
第三者の精子・卵子を使用した体外受精は国内で不可能
日本では第三者の精子や卵子を使った体外受精は法律で認められていないため注意が必要です。
日本の生殖補助医療の指針では、戸籍上の親子関係が不明瞭になることや、ドナーおよび子どもの権利を守ることから、精子・卵子ドナーによる体外受精を認めていません。
しかし、あくまで日本国内での認可の問題であるため、精子・卵子ドナーに関する法整備が行われている国であれば可能です。
また、海外の医療機関と提携しているエージェントを活用することで、精子・卵子ドナーだけではなく「代理出産」という方法も選ぶことができます。
不妊治療の方法として「体外受精+代理出産」の提案
体外受精で得られた受精卵を、妊娠・出産が困難なカップルに代わって第三者の女性(代理母)の子宮に移植し、代理母が妊娠・出産する「代理出産」という選択肢があります。
体外受精と代理出産を組み合わせることで、妊娠・出産の成功率を飛躍的に向上させることができます。
代理出産エージェントの活用
代理出産エージェントは、国内では認められていない代理出産を希望する方のために、海外のクリニックや代理母との提携をサポートしてくれるサービスです。代理出産エージェントを活用するメリットは以下の通りです。
- 言語の壁や法的問題をクリアできる
- 提携クリニックの質が保証されている
- 代理母候補者の身元確認・健康管理が徹底されている
- 渡航や現地での諸手続きをサポートしてくれる
信頼できる代理出産エージェントを見つけることが、安全で確実な代理出産の第一歩となります。
海外での代理出産をサポートするエージェントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
『代理出産エージェントとは?選び方から費用・事例まで詳しく解説』
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海外での代理出産を安心してお任せできる仲介業者をお探しなら、ぜひ「Baby For You」にご相談ください。
Baby For Youでは、これまでに多くの日本人ご夫婦へ赤ちゃんをお届けしてきました。会社組織として海外の医療機関と信頼関係を築き、弁護士も在籍している、実績のある代理出産エージェントです。
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まとめ
体外受精は不妊治療の選択肢の一つであり、以下の4つの方法があります。
- 体外受精(IVF)
- 顕微授精(ICSI)
- レスキューICSI
- スプリット法
体外受精は、自然妊娠が難しいカップルにとって大きな希望となります。一方で、高額な費用がかかることや、複数回の治療が必要になる可能性があるというデメリットもあります。
また、日本では第三者の精子や卵子を使った体外受精は認められていません。そのため、ドナーを必要とするカップルは、海外で代理出産を検討するという選択肢もあります。
海外での代理出産を安全に行うためには、エージェントのサポートが欠かせません。信頼できる代理出産エージェントをお探しなら、ぜひBaby For Youにご相談ください。
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