2024-09-17
不育症とは?原因や検査方法、リスク因子を詳しく解説
流産を繰り返してしまうと、「自分は不育症なのかもしれない」と不安に思う方も多いでしょう。しかし、不育症と診断されたとしても子どもを授かれないというわけではありません。
万が一不育症だったとしても過度に自分を責めず、正しい知識を身につけて適切な選択をすることが大切です。
この記事では、不育症の原因やリスク因子、検査について詳しく解説します。
不育症とは?
不育症とは、流産や死産などを繰り返し、結果的に子どもを持てない状態を指します。流産は、妊娠22週までの早期に赤ちゃんが亡くなってしまうことを指し、妊娠22週以降に亡くなった場合を死産と言います。
不育症について、以下の視点から詳しく解説します。
- 不育症と診断される基準
- 不育症が発生する頻度
- 流産となる原因
- 不育症で妊娠・出産できる確率
不育症だからといって、必ずしも赤ちゃんを授かることができないというわけではありません。正しい知識を身につけて、治療に臨みましょう。
不育症と診断される基準
不育症とは、2回以上の流産や死産などの経験がある場合に診断される疾患です。
具体的には、以下のいずれかに当てはまる場合を指します。
- 原因不明の流産を2回以上繰り返している
- 妊娠22週以降の死産を1回以上経験している
流産や死産を繰り返す原因は多岐にわたりますが、検査を行っても約半数は原因不明とされています。そのため、上記のような状態の方は、不育症の可能性があると考えられ、専門医による診断と治療が必要とされます。
不育症が発生する頻度
妊娠した方のうち、10〜15%が流産となります。2回以上の流産を経験し不育症と判断される方の割合は4%ほどとされており、このことから、日本では1年間で3万人が不育症を発症しているという計算になります。
また、流産の確率は年齢とともに向上し、40歳代の流産率は50%ほどとされています。
参考:一般社団法人日本生殖医学会_年齢が不妊・不育症に与える影響
流産となる原因
流産の原因は複数あり、大きく以下の3つに分類されます。
原因 |
説明 |
胎児の染色体異常 |
受精卵の染色体に異常がある場合、着床後に流産に至ることがあります。 |
母体の異常 |
子宮形態異常、内分泌異常、免疫学的異常などの母体の異常により流産のリスクが高まります。 |
感染症や外的要因 |
風疹やトキソプラズマなどの感染症や、喫煙・飲酒・ストレスなどの外的要因も流産の原因となり得ます。 |
特に、胎児の染色体異常による流産が最も多く、全体の約70%を占めると言われています。染色体異常の多くは偶発的に発生するため、母体年齢が上がるほどそのリスクは高くなります。
また、母体の異常による流産は、全体の10〜15%程度と考えられています。子宮形態異常や内分泌異常、血液凝固異常などが主な原因です。
不育症で妊娠・出産できる確率
不育症と診断されても、70〜80%以上の方が次回妊娠時に出産に至ることができています。
正しく検査を行い、原因に合わせた治療を行うことで出産できる確率が高まります。
パートナーとよく相談し、専門医のアドバイスを受けることが大切です。不育症と診断されても気落ちしすぎず、心身の健康管理にも留意しましょう。
不育症のリスク因子
不育症の原因となる疾患にはさまざまなものがありますが、代表的なリスク因子は以下の通りです。
- 抗リン脂質抗体症候群
- 凝固異常
- 子宮形態異常
- 内分泌異常
- 夫婦の染色体異常
それぞれの項目について、詳しくみていきましょう。
抗リン脂質抗体症候群
不育症のリスク因子の一つに、抗リン脂質抗体症候群があります。これは、血液の凝固を促進する抗体が過剰に産生されることで血栓ができやすくなり、流産や胎児の発育不全を引き起こす自己免疫性疾患です。
抗リン脂質抗体症候群の主な症状は以下の通りです。
- 習慣流産(同じ妊娠週数で繰り返し流産する)
- 子宮内胎児発育遅延
- 常位胎盤早期剥離
- 妊娠高血圧症候群
- 深部静脈血栓症
抗リン脂質抗体症候群は、不育症の原因の10〜15%を占めると言われており、特に原因不明の不育症の中では最も頻度が高い疾患の1つです。
凝固異常
不育症の原因の一つに血液凝固異常があります。血液の凝固機能が亢進することで、胎盤の血管で血栓ができやすくなり、胎児への酸素や栄養の供給が滞るのです。
凝固異常は主に、先天的な遺伝が原因で起こります。
子宮形態異常
子宮の形態異常も、不育症のリスク因子の一つです。主な子宮形態異常には以下のようなものがあります。
- 双角子宮:子宮が左右に分かれている状態
- 中隔子宮:子宮内に隔壁があり、子宮腔が左右に分かれている状態
- 単角子宮:片側の子宮が発達せず、反対側のみが発達している状態
- 腺筋症:子宮内膜組織が子宮筋層内に入り込んでいる状態
これらの子宮形態異常は、胎児の着床や子宮内での成長に影響を及ぼし、流産のリスクを高めてしまいます。
内分泌異常
不育症のリスク因子として、内分泌異常も挙げられます。内分泌異常とは、ホルモンの分泌に異常をきたす病態のことです。 具体的には以下のようなものが挙げられます。
- 甲状腺機能低下症
- 高プロラクチン血症
- 黄体機能不全
これらの内分泌異常は、妊娠の維持に必要なホルモンバランスを乱し、流産のリスクを高めると考えられています。
夫婦の染色体異常
不育症のリスク因子には、夫婦の染色体異常も含まれます。染色体異常とは、染色体の数や構造に異常がある状態を指します。
夫婦のどちらかが染色体異常を持っている場合、受精卵に染色体異常が生じやすくなります。その結果、着床しにくかったり、着床しても流産に至ったりすることがあるのです。
夫婦に染色体異常が見つかった場合は、着床前診断などの方法で、受精卵の染色体を調べることができます。
その他
不育症のその他のリスク因子には、免疫異常や感染症、環境要因などがあります。
- 免疫異常の例
・NK細胞の活性化
・Th1/Th2バランスの異常
・抗核抗体の存在
- 感染症の例
・風疹
・クラミジア
・細菌性腟症
また、過度のストレスや体重増加不良、極端なダイエットなども、流産のリスクを高めると考えられています。こうした多様な要因が重なることで、不育症のリスクがさらに高まるのです。
不育症の検査
不育症の検査には、医学的根拠が十分にある「推奨検査」、推奨検査に準じた「選択的検査」、医学的根拠は十分ではないが効果的な「研究的検査」があります。
それぞれの主な検査内容について紹介します。
推奨検査
不育症の診断には、以下のような検査が一般的に推奨されています。
- 抗リン脂質抗体検査
・抗カルジオリピン抗体
・抗β2グリコプロテインI抗体
・ループスアンチコアグラント
- 凝固系検査
・プロテインC活性
・プロテインS活性
・抗トロンビン活性
- 子宮形態検査
・子宮卵管造影検査
・経腟超音波検査
・子宮鏡検査
- 内分泌検査
・甲状腺機能検査
・プロラクチン値測定
- 染色体検査(両親)
これらの検査結果を総合的に判断することで、不育症の原因を特定し、適切な治療方針を立てることができます。
選択的検査
推奨検査の結果に応じて、さらに以下のような選択的検査が実施される場合があります。
- 子宮鏡検査
子宮内部の状態を直接観察する
- 子宮卵管造影検査
子宮や卵管の形態異常を調べる
- 精液検査
精子の数や運動性を調べる
これによって、より原因が明確になることが期待できます。
研究的検査
不育症の検査には、推奨検査や選択的検査以外に、研究的検査と呼ばれる検査もあります。これらは現時点で不育症との関連性が明らかになっていない検査項目です。
研究的検査の例としては以下のようなものがあります。
- NK細胞活性の測定
- 抗HLA抗体の測定
- 子宮内膜の免疫学的検査
- 着床障害に関する検査
- 精子DNA断片化率の測定
これらの検査は、不育症との関連性が示唆されているものの、まだ確立された検査法ではありません。そのため、検査結果の解釈や治療方針への反映については慎重になる必要があります。
不育症の治療
不育症の治療は、検査で明らかになった原因に応じて行います。
主な治療法は以下の通りです。
- 抗リン脂質抗体症候群・凝固異常
低用量アスピリン、ヘパリンの投与
- 子宮形態異常
子宮鏡下手術、子宮形成術
- 内分泌異常
ホルモン療法、インスリン抵抗性改善薬の投与
- 夫婦の染色体異常
着床前診断
治療によって、次回妊娠時の流産リスクを下げることが期待できます。ただし、全ての原因が解決できるわけではないため、治療をしても流産を繰り返すこともあります。主治医とよく相談しながら、治療方針を決めていくことが大切です。
不育症に関するQ&A
不育症について、よくある疑問にお答えします。
- 1回でも流産したら検査が必要?
- 2人目の妊娠で不育症になることもある?
- 不育症になりやすい人の特徴は?
それぞれの回答を以下からみていきましょう。
1回でも流産したら検査が必要?
一般的に、1回の流産では検査は不要とされています。2〜3回繰り返した場合に、リスク因子が疑われ、検査を行うこととなります。
ただし、1回の流産でも妊娠10週目以降だったり死産だったりといった場合では、母体による要因が大きいと考えられているため、検査を行う可能性があります。
2人目の妊娠で不育症になることもある?
1人目の妊娠・出産が順調だったとしても、2人目の妊娠で不育症にならないというわけではありません。
2人目以降の妊娠で不育症になる要因として、母体年齢の上昇、1人目の出産による筋腫やポリープの発症などが挙げられます。
流産そのものの原因はさまざまであり、発生確率も決して低くないため、2人目の妊娠で不育症が疑われた場合は速やかに検査を受けましょう。
不育症になりやすい人の特徴は?
不育症になりやすい人の特徴として、以下が挙げられます。
特徴 |
説明 |
高年齢 |
35歳以上の女性は、流産のリスクが高くなります。 |
肥満 |
BMI25以上の肥満女性は、流産率が高い傾向にあります。 |
喫煙 |
喫煙習慣のある女性は、流産のリスクが非喫煙者の2倍になります。 |
過剰なアルコール摂取 |
過剰なアルコール摂取は、流産のリスクを高めます。 |
ストレス |
強いストレスは、ホルモンバランスに影響し流産リスクを高めます。 |
子宮内膜症 |
子宮内膜症の女性は、流産のリスクが高くなる傾向があります。 |
この中でも特に要因として大きいのは年齢です。
40歳以上の流産率は約50%となるため、流産を繰り返し不育症と診断されるケースも増加します。
高齢出産・不育症に代理出産という選択肢
高齢出産や不育症で子供を授かることが難しい夫婦にとって、代理出産は有力な選択肢の一つです。代理出産は、第三者の女性に依頼して精子と卵子から作った受精卵を移植し、妊娠・出産してもらう方法です。
不育症の治療によって妊娠できても、高齢の場合は出産時に母体への大きなリスクが伴います。代理出産を選ぶことで、精神的・肉体的な負担を軽減し、血縁関係のある我が子を授かることができます。
日本国内では代理出産が実質不可能となっているため、海外に渡航して実施する必要があります。そのため、安全な代理出産にはエージェントの活用が不可欠です。
エージェントの活用で安全な代理出産が可能
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もちろん、エージェントは体外受精といった高度な不妊治療を行える実績がある医院をご紹介します。国外で体外受精を行うため、日本国内では実施できない卵子ドナーや男女の産み分けといった方法も選べる点が大きなメリットです。
海外での代理出産をサポートするエージェントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
『代理出産エージェントとは?選び方から費用・事例まで詳しく解説』
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まとめ
不育症とは、2回以上の流産や死産を繰り返す状態のことを指します。その原因は多岐にわたりますが、主なリスク因子は以下の通りです。
- 抗リン脂質抗体症候群
- 凝固異常
- 子宮形態異常
- 内分泌異常
- 夫婦の染色体異常
不育症の検査では、これらのリスク因子の有無を調べます。
不育症と診断されても、80%以上の確率で出産に至ることができます。ただし、高齢や重度の不育症の場合は、代理出産という選択肢もあります。
代理出産は高額ですが、不妊治療を長く繰り返すよりも、早めの決断によってより確実に我が子を授かれる可能性が高まるでしょう。
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